「朝にパンを食べると、血糖値が150〜200(mg/dl)ぐらいにまで上がります。上がりすぎた血糖値を下げるためにインスリンというホルモンが分泌されますが、この時に眠気が生じて、作業効率や学習に支障が生じてしまう。さらにその後、『血糖値が下がった』という情報が脳に伝達され、脳はもう一度血糖値を上げるような食材を欲するようになる。

 とくに小麦の場合、消化されるとエクソルフィンというモルヒネに似た構造式の成分が生成され、脳のモルヒネ受容体と結合することで依存性が生じると考えられています。つまり、小麦の摂取がやめられなくなってしまうのです」(同前)

 福島氏は、“朝のパン”が引き金となって、小麦に依存する食生活となってしまうことを懸念する。

「朝にパンを食べると、昼も夜もパスタやうどんを欲するようになる。糖質が糖質を呼ぶ“糖質過多”のサイクルに入ってしまうんです。しかも、小麦は食欲を増進させる食材で、胃の満腹中枢が麻痺していくため、どんどん食べることができてしまう」(同前)

胃の不調がなくなった
 福島氏は「朝のパン」による血糖値の上昇や糖質過多が、さまざまな悪影響を及ぼすと指摘する。

「血糖値が上がった時に分泌されるインスリンの量が過剰だと、肥満を招くだけでなく血管を狭くしてしまう。そのため心筋梗塞や脳梗塞など血管系の病気を起こしやすい。インスリンの働きが悪くなればII型糖尿病になります。

 さらにその影響は脳にも及び、血糖値の乱高下を繰り返すことで、イライラしやすくなり、鬱のリスクが高まると指摘されています」(同前)

 福島氏自身も以前はこの悪循環に陥っていたという。

「私はいま52歳ですが、45歳まで外科医をしていました。食事の時間がないうえ生活が不規則だったため、手軽だからと週3回はラーメンを食べていた。40歳までそんな生活を続けていましたが、完全な小麦中毒ですね。肥満で膝が痛くなるほどで、中性脂肪も150(mg/dl)あり、メタボ一直線でした」(同前)

 
そこで福島氏が実践したのが、炭水化物を断つことだった。

「最初は夜に一切糖質を摂らないようにし、豚のソテーとキャベツを2週間毎日食べました。昼は食堂でラーメンの麺なしを提供してもらい、麺は食べずにスープと具材だけを食べていました。肉だけを食べていると、最初は低血糖になって脂汗をかき、慌ててパンを少し食べたりしましたが、しだいに体が順応してきて、肉だけでも血糖値が安定するようになった。

 これを2か月続けると、10kg痩せ、中性脂肪も20にまで一気に落ちました。毎日肉を2枚も3枚も食べ、焼く時には油を使い、オリーブオイルなども摂っていましたが、自分でも信じられないほどの減量効果でしたね」(福島氏)

つづく