3つの会社は事実上一体

事故機は、単発プロペラ機「PA46−350P型」(通称マリブ・ミラージュ)で、1989年に製造された。2004年10月、
札幌市の丘珠(おかだま)空港で着陸に失敗して機首部分から接地する事故を起こし、修理後の05年には、自衛隊機に異常接近するトラブルが問題となった。

いわくつきの機体だったわけだが、さらに不透明なのは、事故機をめぐる複数の会社だ。機体を所有するのは、不動産関連会社「ベル・ハンド・クラブ」(東京都福生市)で、整備・管理するのは「日本エアロテック」(調布市)。そして、事故機を操縦し、死亡した川村泰史(たいし)機長(36)のパイロット養成会社「シップ・アビエーション」(同)にリースしていたという。

ベル社を知る関係者は「3つの会社は一体。ベル社の創業者と、エアロ社の小山純二社長は親族関係にあるようで、川村機長も、エアロ社の社員のようなもの。ベル社をトップとするグループ会社だ」と明かす。

ベル社の経営状態を知る関係者は、「数年前には、格納庫の地代を滞納したり、燃料代金の未払いもあったようだ。エアロ社の前社長時代は整備もしっかりやっていたが、
前社長が約5年前に亡くなると、資金難もあり、整備がずさんになった。とくに事故機は、仲間内では『絶対に乗ってはいけない機体』といわれていた」と話す。