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野菜が今年最安値 緊急事態宣言明け 小売り鈍化も

野菜相場が全面安の展開だ。主要14品目の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は、10月中旬(18日まで)は1キロ109円。平年(過去5年平均)比18%安で、旬別では今年最安値を付ける。温暖な天候が続き増量が進んだ一方、緊急事態宣言の解除後は小売りの荷動きが鈍化。今週は気温低下で荷動きが出る品目もあるが、当面弱含みが続きそうだ。

 全国的な曇雨天による品薄で9月は軒並み高騰したが、その後の好天と気温高で品薄は解消。卸売会社は「終盤産地、後続産地ともに生育遅れを取り戻し、増量と高値反動が重なって軟調に転じた」とみる。

 乱高下が激しいのが結球類だ。レタスは10月中旬が1キロ88円と同4割安で、9月下旬の半値に落ち込む。長野産は「遅れ分が出て、最後の山ができた。例年通り今週で大方は終了する」(主産地JA)見通し。後続の茨城産は、中旬以降順調に生育し、総量はむしろ増量基調となっている。

 季節外れの陽気で増量した一方、鍋商材は消費が伸びず、中旬はネギが同3割安、ハクサイは2割安。緊急事態宣言解除後は需要の分散もみられ、卸売会社は「業務筋は回復の兆しがあるが、現時点では小売りの減退の方が大きい」と説明。

 今週は一気に気温が下がり、荷動きに変化が見込まれる。首都圏のスーパーは「10月から秋冬物の売り場に切り替えていたが、ようやく消費が追い付く」と期待する。果菜類も、なり疲れと気温低下で数量が落ち着く見通し。ただ、先週の底値は抜け出しても、全般的に軟調相場が続きそうだ。

2021年10月19日
日本農業新聞