国税庁『令和2年分 民間給与実態統計調査』によると、40歳〜44歳の平均年収は、男性が582万円、女性318万円。
45歳〜49歳の平均年収は、男性が629万円、女性324万円です。高いと感じますか、それとも、少ないと感じるでしょうか。

■金利0.001%の今、「働いてお金を貯めるということ」

日銀の発表によるとバブル期の預金金利は5%〜6%にまで上っていました。一方の現在。各銀行によって利率に多少の変動はありますが、
金利0.001%といった数字が並びます。定期預金ですら、0.1%を割ることが「普通」です。

“6%というのは、100万円の預金を放置し続けるだけで、10年後には約180万円になるという数字です。
無理に投資をしなくても、預金は勝手に成長してくれていたのです。”(瀧川茂一/小山信康『5000円から始めるつみたてNISA』彩図社)

上記のとおり、昔は貯金そのものが「投資」といえる環境でした。
しかし超低金利が続くなか「貯金」のあり方は大きく変わり、「ただただお金を預けておく倉庫」になってしまったといえます。

40代・独身の大槻さん(仮名)。現在の収入は月25万円、手取りでは20万円ほどになります。2021年4月時点の貯金額は44万円。受け取った利子に愕然としたそうです。

「見慣れてはいますが…44万円貯金していて『1円の利子』って何なんですかね。わざわざ教えてくれなくてもいいよ、という気持ちは湧いてきます」

なお40代の平均年収は、40歳〜44歳の男性が582万円、女性318万円。45歳〜49歳の男性が629万円、女性324万円です(国税庁『令和2年分 民間給与実態統計調査』)。
なお1世帯当たりの平均貯蓄額はおよそ650万円。大槻さん、はるかに少ない金額といえますが……。

「独身で、この貯金額で、不安しかないです。今まで何をしていたんだろうという気持ちはあります。
ただ、奨学金を返したり、母にも何回かまとまったお金を渡したりしていて、『自分ではどうしようもなかった』という正直な思いもあります」

厚生労働省『2019年国民生活基礎調査』では、日本国民の生活意識についてアンケートを取っていました。
「大変苦しい」「やや苦しい」「普通」「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」の5択のうち、
「大変苦しい」「やや苦しい」と答えたのは全体の54.4%。過半数を超えています。

「超低金利」「人生100年時代」「老後資金2000万円問題」といった言葉が耳にタコができるほど取り沙汰され、資産形成への危機感が高まっている今、
「バラマキ合戦」と称される現金給付も話題になっています。ネットでは、「もらえるならもらいたいけど、そんなお金をもらったところで人生ままならない」といった声が相次いでいます。

■「人生ってそんな感じでしたっけ」

「生活の足しにはなりますし、正直お金がもらえたら嬉しいですけど……。もとはといえば税金なわけですから。
子どもに『お小遣いあげるから我慢して!』と言っているのに近いですよね」

「僕は独身だし、この先も結婚は多分無理だし、まあその日暮らしで生きてはいけるでしょうね。ただ、なんですかね。人生ってそんな感じでしたっけ」

投資信託や不動産投資をはじめとした資産形成に注目が集まっていますが、それは預貯金にゆとりのある、限られた層の話です。
前述の調査より日本人の所得分布をみると、「200〜300万円未満」が13.6%、「300〜400万円未満」が12.8%、「100〜200万円未満」が12.6%と、所得300万円未満の世帯が最も多くなっています。

令和版所得倍増が「2倍ではないらしい」と判明した現在、日本は「また新たな停滞」の様相を呈しています。
貯蓄すら、「お金持ちだけにできること」になってしまったのでしょうか。労働者の生活地盤はゆらゆらとぐらついたままです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/3f2464757e748aef736a828f746ebc4e7bbc3a37