政府が11月中旬にまとめる予定の経済対策の原案が2日、明らかになった。新型コロナウイルス対策で実施している事業者への実質無利子・無担保融資を、来年3月まで延長することなどを盛り込んだ。子育て世帯などへの給付金や、賃上げした企業への税制支援なども明記した。新型コロナ対策を中心に、これまでの政策の継続が目立つ内容となっている。

 原案は、新型コロナの感染防止▽「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開▽未来社会を切りひらく「新しい資本主義」の起動▽国民の安全・安心の確保――の四つの柱で構成。

 新型コロナ対策では、事業者向けの政府系金融機関による実質無利子・無担保融資を現在の今年末までから来年3月までに延長する。また、地域や業種を限定せず事業規模に応じた給付金も支給する。

 旅行需要喚起策の「GoToトラベル」を再開するほか、今年12月で終了予定の外食需要喚起策「GoToイート」事業は延長する。

 家計への給付金については、「非正規・子育て世帯等のお困りの方へのプッシュ型給付金または、未来応援給付」とした。具体的な対象者や金額など詳細は今後、自民、公明の両党で調整する。

 岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」は、科学技術立国▽地方活性化▽経済安全保障の抜本的強化▽子供・子育て、人への投資、働き方改革――が柱。企業に賃上げを促すため税制や補助金で支援するほか、マイナンバーカードを活用し商品の購入などに利用できる新たなマイナポイントの付与などを盛り込んだ。

 政府・与党は、今月中旬に経済対策を決定する方針で、その裏付けとなる補正予算案の年内成立を目指している。実施には多額の財源を必要とする政策も多く、今後、規模を詰める。【後藤豪、松倉佑輔】

政府経済対策の原案の骨子
新型コロナウイルス感染症の拡大防止

 ・非正規・子育て世帯などへのプッシュ型給付金

 ・地域や業種を限定せず事業規模に応じた給付金

 ・政府系金融機関による実質無利子・無担保融資を来年3月まで延長

「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と危機管理の徹底

 ・旅行需要喚起策「GoToトラベル」再開

 ・新型コロナ治療薬の確保、経口薬の年内実用化

未来社会を切りひらく「新しい資本主義」

 ・賃上げを行う企業への税制支援の抜本強化

 ・最低賃金引き上げに向けた中小企業、小規模事業者への支援

 ・先端半導体の国内生産拠点の確保

防災・減災、国土強靱(きょうじん)化の推進など安全・安心の確保

 ・情報通信、エネルギー、上下水道等のライフラインの対災害性の強化

毎日新聞 2021/11/2 20:00(最終更新 11/2 23:31) 1054文字
https://mainichi.jp/articles/20211102/k00/00m/010/230000c