新型コロナで打撃を受けた飲食業界の求人が急回復している。
過去の緊急事態宣言明けのときはたいして求人が増えなかったのに、この10月はコロナ禍前の水準に迫る勢いだ。
すでに人材の争奪戦が激しくなっており、コロナ禍前に増して人手の確保が容易でない。

東京などの飲食店に対する営業時間の短縮要請が解除された10月25日。
東京都豊島区のカフェ「プロント エキア池袋店」では、稼働するアルバイトの人数を1時間あたり2人程度増やして6〜7人態勢にした。お客さんがいよいよ戻り始めると考えたためだ。

ただ、アルバイトの採用は日を追うごとに難しくなっている。以前は週に20件近くあった応募が10月に入ったら半減。
その後もどんどん減り、週5件前後に。しかも選考中にこう連絡を受けることも急増している。

「他の飲食業のお店に先に決まりましたので、面接は辞退させてください」

同店の西山朔店長(28)は「もう争奪戦。我々は早くから人集めに動いたので、まだせっぱつまった状況ではない。
でも、年末に向けてあと5人程度増やそうと思うので、集まるか気が気でない」と話す。

人がなかなか集まらないなら、できる限り離職を防がなければならない。定期的な面談をやったり、お互いのいいところを褒めあったり、働きやすい環境にしようと知恵を絞っている。
「半年後、1年後など先々の店づくりを考えると、働く人のやりがいを高めることが不可欠」(西山店長)という。

プロントでは、全国に約310店あるチェーン店のうち約90の直営店で、
1店につきアルバイトを5〜10人増やそうと、9月から採用を本格化させている。さらに正社員も50人以上、新規で採用する。

「串カツ田中」も人の確保を急ぐ。10月から出店攻勢をかけているためだ。「物件の賃貸料も安くなっていて、今が出店のチャンスと判断した」(広報)。
もともとは今年11月までの1年間で54店舗を新たに出店するはずだったが、コロナ禍のせいで思うように進まなかった。
そこで10月に7店、11月に8店を出して巻き返しを図る。そのためには、1店舗あたり正社員を1〜2人、アルバイトを15人程度、新たに採用する必要があるという。

こうして各社が人集めを本格化させているため、飲食業界全体で求人数が跳ね上がっている。
人材サービス会社エン・ジャパンの転職サイト「エン転職」では9月に入って、飲食関連の求人がコロナ禍前の9割近くの水準まで急回復した。
それまでは2〜6割の水準で揺れ動いていた。さらに10月の水準は9月を超え、コロナ禍前に迫っている。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c728418e9abb8c9fa4c7128fee3aa3143b7c82e6

“解除”で求人増…面接の無断キャンセルも
https://news.yahoo.co.jp/articles/fbe3b4c25f0f7b4b7dece8ceccbcf46c291d3547