東京の私鉄・京王線の電車内で乗客が襲われ、17人が負傷した事件は、日本の人々に衝撃を与えた。容疑者(24)が米コミックの登場人物ジョーカーの仮装をしていたとみられることに注目が集まったが、日本社会についてもっと大きな何かをうかがわせる事件なのだろうか?


ただの模倣ではない
今回の事件では、容疑者の人物像や、彼のような人が他にもいる可能性をめぐって、メディアに憶測があふれた。

電車内という設定や「ジョーカー」の衣装に、大きな関心が寄せられた。

映画「ジョーカー」を実際に見た人なら、今回のは模倣犯罪だと思うだろう。劇中で起きる、ニューヨークの地下鉄内の場面をまねたはずだと。

実際、容疑者は警察などの調べに対し、「ジョーカーに憧れていた」、「できるだけ多くの人を殺したかった」と述べたと報じられている。

しかし複数の犯罪心理学者は、彼の仮装と犯行のタイミングの真の意図は物まねではなく、自分の凶行に世間の注目を集めることだっただろうと話す。

東京未来大学の犯罪心理学者、出口保行教授は、容疑者は注目を集めたかったのだろうと話す。

ゆがんだ自己顕示欲の持ち主が、ハロウィーンの夜にジョーカーの仮装をすれば、さらに目立てると考えた。ジョーカーのように振る舞い、ジョーカーに憧れていたと発言することで、もっと注目を集めることができると思った――。出口教授は容疑者についてそう分析する。映画を見たから、あのまねをしようと決めたわけではないだろうと話した。

社会的なリスク要因
私は事件後、複数の犯罪心理学者に取材した。すると全員が同じことを言った。これはサイコパス(精神病質者)による犯罪ではないと。

事実、識別可能な精神疾患のある人が無差別襲撃事件を起こすのはまれだ。無差別暴力事件の犯人があてはまる類型と、精神疾患の人のそれは異なる。無差別暴力事件は、社会から疎外されていると感じている人が実行する場合が圧倒的に多いのだ。

大量殺人など凶悪犯罪を引き起こす、最大リスク要因の1つは、社会的孤立や社会的なつながりの欠如だ――。筑波大学の犯罪心理学者、原田隆之教授はこう説明する。

凶悪犯罪を犯す人たちには、次の特徴があると原田教授は言う。

親族、愛する人、仕事、社会的つながりがない
社会に絶望していて、社会に対して強い敵意を抱いている
自殺願望もある

続きはソースにて
https://www.google.com/amp/s/www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-59286633.amp