ファイナンシャルフィールド2021.11.16
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厚生労働省の調査によると、ひとり親家庭の子どもの大学等進学率は、全世帯53.7%に対して、ひとり親家庭23.9%と全世帯の半分程度となっています。

この背景には経済的事情によるところが大きいでしょう。新しくスタートした高等教育の修学支援新制度などを活用して、子どもの大学等進学の夢をかなえてあげましょう。

大学進学費用っていくらかかるの?
日本政策金融公庫「令和2年度 教育費負担の実態調査結果」を見てみましょう。

▽入学費用 大学は89.7万円
子ども1人あたりの入学費用は、高校が36.5万円、高専・専修・各種学校が50.4万円、短大が60.4万円、 大学が89.7万円となっています。

私立大学の入学費用は理系で94.2万円、文系で95.1万円、国公立大学の入学費用は77.0万円です。国公立大学へ入学した場合は、入学しなかった学校(私立大学等)への納付金(14.8万円)の負担もあります。

▽在学費用 大学は157.3万円
子ども1人あたりの1年間の在学費用は、高校が69.9万円、高専・専修・各種学校が130.6万円、短大が158.3万円、大学が157.3万円となっています。私立大学の1年間の在学費用は、理系で192.2万円、文系で152.1万円となっており、理系は国公立大学のおよそ1.7倍、文系はおよそ1.3倍です。

世帯年収に占める在学費用(子ども全員にかかる費用の合計)の割合は、平均15.9%となっていますが、ひとり親家庭の平均年収が含まれる「200万円以上400万円未満」世帯の平均負担割合は31.7%となります。

▽入学費用と在学費用(入在学費用)の累計 大学は718.9万円
子ども1人あたりにかける費用は、高校3年間で246.2万円に対し、大学に入学した場合は718.9万円が加わり、高校入学から大学卒業までにかける入在学費用の合計は965.1万円となります。高校卒業後の入学先別に見ると、私立大学に入学した場合の累計金額は、文系で949.7万円円)、理系で1109.2万円、国公立大学では783.2万円となります。

このように大学進学は高校に比べ多くの費用がかかります。厚生労働省の調査によると、母子世帯の母自身の平成 27 年の平均年間収入は 243 万円(父子世帯420万円)ですので、大学進学費用を捻出するのは厳しい状況です。

このような状況もあり、子どもに関する最終進学目標は、母子世帯、父子世帯ともに「大学・大学院」で、母子世帯の母は 46.1%、父子世帯の父は 41.4%にも関わらず、実際は半分程度しか進学していません。

大学進学を諦めないために活用したい高等教育の修学支援新制度
2020年4月から「高等教育の修学支援新制度」がスタートしました。経済的な理由で大学等への進学を断念しないようにという趣旨から、大学等への入学金・授業料の免除または減額と、返済不要の給付型奨学金がセットになったものです。

住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生が対象です。進学前高校3年の4月〜6月頃に申し込む予約採用の場合の年収の目安は、会社員など給与所得者の場合、本人・母の2人世帯では373万円以内が対象です。

支給額は一律ではなく、住民税非課税世帯(第1区分)を基準に、第2区分がその3分の2、第3区分が3分の1支給されます。入学金・授業料の減免も同様です。住民税非課税世帯の学生の場合、入学金・授業料の減免は、国立大学では入学金約28万円・授業料約54万円、私立大学では入学金約26万円・授業料約70万円となります。

給付額(年額)は、国公立大等では自宅生約35万円、自宅外生約80万円、私立大等では自宅生約46万円、自宅外生約91万円となります。

日本学生支援機構のホームページに掲載されている「進学資金シミュレーター」に生計維持者、収入額、世帯構成、進学希望先等に関する詳細な情報を入力すれば、支給の可否やその条件に応じた給付奨学金の支給月額が確認できますので試してみましょう。

採用条件には、上記の収入基準の他、資産基準、学力基準もあります。資産基準について、申込日時点の学生(生徒)と生計維持者の資産額の合計が、生計維持者の人数が2人の場合は2000万円未満、1人の場合は1250万円未満であることが必要です。

死別の場合、多額の保険金を受け取る場合もあると思います。資産とは、現金やこれに準ずるもの(投資信託、投資用資産として保有する金・銀等)、預貯金、有価証券の合計額をいいます。現預金が多い場合は、土地・建物等の不動産、貯蓄型の生命保険や学資保険は含みませんので、これらの資産に組み替えるのもひとつの方法です。
(以下リンク先で)