「神田川」「やさしい悪魔」などのヒット曲で知られる作詞家の喜多條忠(きたじょうまこと)さんが十一月二十二日、肺がんのため死去した。七十四歳。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻輝美(てるみ)さん。
 文化放送で放送作家をしていた一九七三年、自身の学生時代の体験をヒントに書いた「神田川」を、南こうせつさんらのフォークグループ、かぐや姫が歌い、ミリオンセラーとなった。続く「赤ちょうちん」「妹」でもつましい若者の暮らしを描き、「四畳半三部作」として親しまれた。
 アイドルグループのキャンディーズには「やさしい悪魔」「暑中お見舞い申し上げます」などを提供。柏原芳恵さんがヒットさせた「ハロー・グッバイ」、五木ひろしさんの「凍(い)て鶴」などポップスから演歌まで幅広く手掛けた。
 他の代表曲に梓みちよさんの「メランコリー」、中村雅俊さんの「いつか街で会ったなら」など。二〇〇八年には小説「女房逃ゲレバ猫マデモ」を刊行。日本音楽著作権協会(JASRAC)理事、日本作詩家協会会長を務めた。
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<歌手の南こうせつさんの話> お互いにまだ学生だったころ、文化放送の近くの喫茶店で意気投合し、語り合ったのがつい昨日のことのようです。また一人大事な戦友を失い、寂しい気持ちでいっぱいです。

東京新聞 2021年12月1日 07時16分
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