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競合は無印とニトリか 「イオン・キャンドゥ」タッグで再編進む100円ショップ業界の今
小売・流通アナリストの視点 ★連載#54
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2111/25/news022.html
2021年11月25日 05時00分 公開
[中井彰人,ITmedia]

 100円ショップ業界の売り上げ第3位であるキャンドゥが、イオングループと資本提携することになった。
キャンドゥの業績は増収基調で利益も相応に確保していたのだが、業界大手企業の売上推移をみれば、その伸び悩みは明らかだ。

 次の図表は上位4社であるダイソー(大創産業)、セリア、キャンドゥ、ワッツの売上推移を示したものだ。
1位ダイソーと2位セリアが順調に売り上げを伸ばしているのに対して、3位キャンドゥ、4位ワッツが年々差をつけられてきたということが分かる。
・100円ショップ業界売上推移(各社IR資料などを基に筆者が作成)【図略】

◆共同出店トレンドでジリ貧だったキャンドゥ
 コロナ禍による巣ごもり需要によって、100円ショップ業界に追い風が吹いていた2020年度の売上増加率は、
ダイソー「4.9%」、セリア「10.6%」に対して、キャンドゥは「2.5%」、ワッツが「2.7%」と、差が開くばかりという結果となっている。この直接的な原因は、新店の出店場所確保の力の差にある。
【略】
 キャンドゥとしては今回の資本提携を機に、グループのさまざまな経営資源も活用しつつ、イオングループに収益をもたらす存在であることを証明すれば、今は逆転不可能とも見えるダイソー、セリアと互角以上に戦える存在になることも可能になった。

◆100円ショップ業界は「1強」から「4強」、そして「2強」へ
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2111/25/news022_2.html
 【略】その後、業界内の淘汰が進むなかで、ダイソーの圧倒的優位は揺るがないながらも、セリア、キャンドゥ、ワッツが生き残り、現在では4社寡占体制のなかで最終決戦が進行中といった状況となっている。
特にセリアは対ダイソー比で売り上げが10%から38%へとその存在感を拡大し、ダイソーを追走している。4強時代から2強時代への移行期とも見えるこの10年を経て、かつての2位キャンドゥとしては、このまま見過ごすわけにはいかなかったのであろう。
【略】

◆セリアが急成長を遂げた理由とは
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2111/25/news022_3.html
【略】おしゃれ雑貨の廉価版といったセリアの店は、女性客の支持を得て急速に店舗数を増やし、ダイソーを追走し始めることになった。
【略】
百円ショップ、今後の競合は無印?
【略】

◆続々登場の廉価版雑貨 100円ショップもその波に乗るか
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2111/25/news022_4.html
【略】
 本文では触れなかったが、コンビニとのコラボも広がり始めており、こうした販路も市場拡大につながる可能性がある。今や、100円ショップ業界は、ECの脅威にさらされることなく、廉価版シンプル雑貨市場やコンビニコラボというフロンティアを見いだし、再び成長ステージに入ったといってもいいだろう。
こうした環境を考えれば、キャンドゥの資本提携のタイミングは、100円ショップの2強時代を阻んだ起死回生のアライアンス、として流通史に刻まれる可能性があるかもしれない。

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