コリン・ジョイス(在英ジャーナリスト)

イギリスの新型コロナワクチン接種はここ半年で、「見事な進み具合」から「もう少し頑張りましょう」という認識に変化している。
今年春の時点では、イギリスは他の先進国と比べてかなり先を走っていた。でも夏が過ぎるころにはそのリードを生かせなくなり、
アイルランドやポルトガル、スペインなど数々のヨーロッパの国がほぼイギリスに「追いついて」きている。

オミクロン株が出現もしないうちから感染再拡大で規制を強化しつつあったフランスやドイツ、
オーストリアと比べても、イギリスは大きくリードしてはいないようだ。

イギリスは日本よりも数カ月は先を行っていたはずだったが、今では「2回接種」の接種率で8ポイント遅れを取っている。まさに日本の「大逆転」だろう。
国と国との競争ではないということは、十分承知している。僕が言いたいのは、イギリスの見事なワクチン接種に対する初期の楽観論が行き過ぎだったということだ。

一方、僕は3回目接種(いわゆるブースター接種)を受けた――2回目接種からちょうど6カ月後だ。それはちょっとしたタナボタだった。
僕は「接種予約可能になりました」とのテキストメールを受け取った。さらに、予約不要の接種会場もあると記載されていて、時間にルーズなタイプの僕はその言葉に引かれた。

でも、メールにはリンク先が表示されていなかったので、ネット検索しなければならなかった。
すると、自宅から10分の駐車場に「期間限定」ワクチン接種会場が、ちょうど翌日、たった1日だけ設けられるということを知った。


重症者=未接種者はもはや常識なのに


このやり方はシンプルで迅速かもしれないが、僕は会場でスタッフに「建設的批判」を述べてみた。
僕が昨夜遅くに思い付きでNHSのウエブサイトをチェックしていなければ、今回の接種機会を簡単に逃してしまっただろう、もっと広く周知すればより効果があっただろうに、と。

接種会場となるバスは毎日移動しており、その後の数日は、僕からすればあまり便利ではない場所に会場が次々と移ることになっていた。

接種を受けた後、副反応に備えて全員、屋外で15分間じっと座っているように指示された。
この待機時間中、僕は何人もの人が偶然通りかかって飛び入りで接種する姿を目にした。

だから、この接種バスが計画的に動くタイプの人向けのものではなく、僕みたいな半・計画的な人向けですらないことに気付いた。
このバスはそこらへんを走っては、接種を「接種するつもりではいた」/「接種したいけどずっと忙しかった」/「接種の機会がなかった」人々がたくさん「通りかかる」ところを狙ってさまざまな場所に止まっていたのだ。

こういう人々が存在するということをついつい忘れがちだったことに、僕はむしろ驚いた。
僕は(比較的少数派の)騒がしい反ワクチン派のことはよく耳にするが、彼らとは違い分別ある人々が、接種の通知を受け、何度もメールをもらってもそれでもまだ接種しないでいる可能性があることに驚いた。
コロナにより瀕死の重症になったり集中治療室に入ったりしている人は、今やほぼ間違いなくワクチン未接種者だという事実は明らかなのに。

僕が3度目の接種を受けたのは、オミクロン株のニュースが出てくる少し前だった。
この事態を受け、イギリスは今、ブースター接種をスピードアップさせて進めている。

でもまだ、1回目接種も受けていない「連絡が困難」な層もいる。
夏以来、ワクチン接種率はほとんどの年代で頭打ち状態が続いており、35〜55歳の4分の1前後が未接種のままなのだ。
https://www.newsweekjapan.jp/joyce/2021/12/3.php

コリン・ジョイス(Colin Joyce)
https://jp.reuters.com/article/opinion-colin-joyce-idJPKCN1R10VI
英エセックスを拠点に活動するジャーナリスト。オックスフォード大学卒業後、日本語を学ぶため1992年に来日。
埼玉県の高校で英語を教えた後、週刊誌ニューズウィーク日本版に4年間、英紙デイリー・テレグラフ東京支局に7年間勤務した。


【アメリカ・メーン州】 病院の集中治療室(ICU)患者のうち、コロナワクチン未接種者は9割を占める
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1639009860/