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札幌の秋元市長(央)はバッハ会長に強気な姿勢を貫いた方がいい(写真は、2020年1月、ローザンヌ)/(C)共同通信社

“ぼったくり男爵”2030年冬季五輪候補地「札幌」ベタ褒めの魂胆とIOCのお寒い事情
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「ぼったくり男爵」は北の大地をも食い物にする気か。

 国際オリンピック委員会(IОC)のトーマス・バッハ会長(67)は8日に会見し、2030年冬季五輪の招致を目指す札幌市が、選手村や競技会場に既存施設を活用する案に「札幌には事実上、すべてがそろっている。東京大会とは出発点が大きく異なる」と好印象を口にした。

 コロナ禍により、1年延期された今夏の東京五輪は感染防止のため無観客での実施を強いられた。開催費用が膨れ上がった上に、スポンサー企業の多くが宣伝効果を得られなかったことから、バッハ会長は「(コロナの収束で)2030年は観客や参加者すべての人に制限がなくなると思う」と、チケット収入や協賛金などの収益が見込めるとニンジンをぶら下げた。

 バッハ氏は現時点で札幌市が有力な開催地だと言わんばかりだったが、それも当然だ。

■札幌だけが頼みの綱

 IОCでは開催地選定のスケジュールを明らかにしていないものの、現状、30年五輪開催に明確に名乗りを上げているのは札幌だけだ。ピレネー・バルセロナ(スペイン)、ウクライナに加え、ここにきて02年に開催実績のある米ソルトレークシティーも招致を発表しているが、札幌のように具体的な開催年は明言していない。札幌市とは異なり、他の都市は今後、住民投票で招致を否決される可能性もあるだけに、IОCにとっては現状、札幌だけが頼りなのだ。

 北海道在住のスポーツライター・高野祐太氏がこう言う。

「欧州を中心に五輪招致に名乗りを上げる国や都市は減少傾向にあります。費用対効果を考慮すれば、巨額な血税を投じるメリットの少ないことが大きな理由でしょう。今夏の東京五輪では、ただでさえ開催延期で経費が増大した上に、高級ホテルに宿泊するなどIОC役員のVIP待遇には批判が高まりました。自国開催の五輪で問題を目の当たりにしただけに、札幌市には東京の二の舞いだけは避けてほしいものです。他に手を挙げている都市がないのであれば、IОCにも開催費用負担のリスクを引き受けてもらうなど、開催契約の根本的な見直しを俎上に載せるくらいの思い切った交渉が求められるのではないでしょうか」

 こちらが、ぼったくり男爵の足元を見た方がよさそうなのだ。