8000万枚もの在庫が積み重なり、保管料に年間9億円もの税金がかかるアベノマスク。昨年、当時の安倍首相が側近から「国民の不安がパッと消えます」と耳打ちされ調達した“負のレガシー”だが、ここへきて、岸田政権が「一斉処分」に動きだした。その狙いやいかに−−。

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「希望する自治体に配布し、災害備蓄や地域住民への配布に活用していただくこと、希望する個人へ国から配布することなどの取り組みを進める」

 松野官房長官は15日の会見で、倉庫に眠っているアベノマスクの扱いについてこう表明した。要するに、「欲しい人は手を挙げて」というわけだ。巨額の税金を費やして保管するより、放出した方がいいに決まっているが、突然の“放出”に対して、「岸田政権には思惑があるのではないか」との声が上がっている。

「全国1700を超える各自治体に、一定数のアベノマスクを引き受けさせ、“秘密裏”に処分してもらう腹積もりではないか。地方交付金の増額をチラつかせれば、多くの自治体が受け入れる可能性がある。菅前政権時代、新型コロナのワクチン接種をせかしたやり方と一緒です」(霞が関関係者)

 自治体に“圧力”をかけてアベノマスクを押し付け、いつの間にか在庫を処分させようということか。しかし、その一方、まったく違う狙いも囁かれている。安倍元首相への“嫌がらせ”である。

誰も手を挙げなければ「メンツ丸潰れ」

「悪評ふんぷんのアベノマスクを『希望者に配布する』と言えば、『余計な物を配るな』と国民が怒るのは分かり切ったことでしょう。その怒りの矛先は岸田さんではなく“製造責任者”の安倍さんに向くことになるのは明らか。これでもし希望者が出てこなかったら、安倍さんのメンツは丸潰れです。安倍さんの嫌がるところを巧妙に突く、手の込んだ“攻撃”と言えます。そもそも安倍さんは、この件が話題になることを嫌がっているはずです」(官邸事情通)

■「いらない」「買い取らせろ」と批判続出

 確かにツイッターでは〈いらねえ〉〈欲しい人いるの?〉〈安倍に買い取らせろ〉といった怒りの声が続々と上がっている。岸田首相は14日の衆院予算委員会で、8000万枚ものアベノマスクが倉庫に眠っていることを問題視されると「反省すべき点があった」と受け止め、「有効活用の道を探りたい」と答弁。

 その翌日の「在庫一掃」表明だから、ヤケに仕事が早い。連日、アベノマスクが取りザタされ、安倍元首相は不機嫌になっている可能性が高い。

 岸田首相はかつて、ご自慢の「聞く力」を安倍元首相に対して発揮しまくっていたが、最近は“傀儡”とみられることを極端に嫌がり「安倍離れ」を強めている。

「政権発足時、安倍さんが求めた“萩生田官房長官”“高市幹事長”人事を、岸田さんは拒否。茂木幹事長誕生で“空席”となった外相ポストには安倍さんの天敵である林芳正さんを就けた。国会では、安倍さんの“鬼門”である桜を見る会についても、『大いに反省すべき点がある』『私の内閣では開催しない』と断言しています」(同)

 今頃、安倍元首相はカンカンになっているに違いない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a31694c97a48dcf294ce51335e407d06b9cee564