https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211222/k1


安定的な皇位継承のあり方などを議論してきた政府の有識者会議は22日、最終的な報告書をまとめました。

皇位継承の議論は機が熟していないとしたうえで、皇族数を確保する方策として
▽女性皇族が結婚後も皇室に残る案と
▽旧皇族の男系男子を養子に迎える案の2つが盛り込まれました。

国会の要請を踏まえて、ことし3月から議論を続けてきた有識者会議は、22日報告書をまとめ、座長を務める清家篤・元慶應義塾塾長が岸田総理大臣に手渡しました。

報告書では皇位継承について「制度的な安定性が極めて重要で次世代の皇位継承者がいらっしゃる中での大きな仕組みの変更は十分慎重でなければならない。
天皇陛下から、秋篠宮さま、悠仁さまという流れをゆるがせにしてはならない」としています。

そのうえで「悠仁さまの次代以降について具体的に議論するには機が熟しておらず、
かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられる。将来、悠仁さまのご年齢やご結婚などをめぐる状況を踏まえたうえで議論を深めていくべきだ」としています。

一方、悠仁さま以外の未婚の皇族が現在、全員女性であることを踏まえると、悠仁さまが皇位を継承されたときには、
ほかに皇族がいなくなることが考えられるとして、まずは皇位継承の問題と切り離して皇族数の確保を図ることが喫緊の課題だと指摘しています。

また、▽天皇が病気や事故などの際、国事行為を皇族に委任する臨時代行や、
▽天皇が重い病気で国事行為にあたることができない場合などに代役を務める「摂政」といった法制度上の役割や、
▽国際親善や被災地へのお見舞いなどといった公的活動を考慮すれば、多様な世代が男女ともに悠仁さまを支えることが重要だとしています。

そのうえで、皇族数を確保する方策として、▽女性皇族が結婚後も皇室に残る案と、▽旧皇族の男系男子を養子に迎える案の2つを提示しています。

女性皇族が結婚後も皇室に残る案については「皇位継承資格を女系に拡大することにつながるのではないか」などの反対意見があることに触れたうえで
その子どもは皇位継承資格を持たず、配偶者と子どもは皇族の身分を有しないことが考えられるとしています。

また、旧皇族の男系男子を養子に迎える案では、戦後昭和22年に皇籍を離脱した11の宮家の子孫が考えられるとしています。

そして「国民の理解と支持を得るのは難しい」という意見に対しては、養子となったあと、
皇族の役割を果たすことで理解と共感が徐々に形成されていくことが期待され
、養子として皇族になられた方は皇位継承資格は持たないとすることが考えられるとしています。

さらに、旧皇族の男系男子を養子ではなく、法律によって直接皇族とする案も示したうえで、
2つの案では十分な皇族数を確保できない場合に検討する事柄と考えるべきだとしています。

また、皇族の範囲の変更は行わず、皇族の身分を離れた元女性皇族にさまざまな活動を支援していただくことも考えられるが、
臨時代行や摂政といった法制度上の役割は「元皇族」では果たせないと指摘しています。

そして報告書は「会議の議論の結果が国会をはじめ、各方面の検討に資するものとなることを期待する。
皇室をめぐる課題が政争の対象になったり国論を二分したりするようなことはあってはならず、
静ひつな環境の中で落ち着いた検討を行っていただきたい」と結んでいます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211222/k10013399431000.html