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閣議に臨む岸田文雄首相(右から3人目)=首相官邸で2021年12月24日午前10時、竹内幹撮影

自民後押しでODA「無償資金協力」微増 財務省の要求押し切る
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 24日に閣議決定した2022年度当初予算案には、政府開発援助(ODA)の「無償資金協力」が前年度当初比1億円増の1633億円盛り込まれた。事業主体の国際協力機構(JICA)に多額の資金が滞留しているとして財務省が大幅な減額を求めたが、外交力の低下を危惧した外務省が自民党の後押しを得て巻き返した。

 無償資金協力は、東南アジアや太平洋島しょ国でのインフラ支援や食糧援助などに使われている。財務省の財政制度等審議会が10月、JICAに資金が約1960億円も使われないまま滞留していると指摘した。外務省は「支援対象国の政治的混乱などから事業が中断することが度々ある」などと事情を説明し、工事の進展が見込めない事業分については国庫に返納するなどの改善策を示したが、財務省は事後的な返納でなく予算段階から減額すべきだと主張した。

 これに対し、自民党の外交部会や外交調査会は「ODAは日本の重要な外交手段で、減額すれば『自由で開かれたインド太平洋』推進にも影響しかねない」などと反発。岸田文雄首相に面会して予算拡充を要求した。林芳正外相も鈴木俊一財務相との閣僚折衝で減額しないよう求め、わずかながら増額で決着した。

 外務省関連ではこのほか、台湾での知日派育成などの事業に前年度当初比1億円増の18億円を計上。日中国交正常化50周年の関連行事費も6000万円盛り込んだが、外務省の担当者は「現時点では関連行事を開催するかどうかも含め一切決まっていない」としている。【飼手勇介】