2021年はパンデミックに振り回された1年だった。ワクチン接種が始まり、経済活動を再開できるとの期待が高まったが、接種は思うように進まなかった。
以前の日常生活が戻りつつあるとはいえ、ウイルスの脅威はいまだ続いている。

失われた機会

新型コロナウイルスの変異株の出現とワクチン対応のばらつきが日常生活の回復を遅らせている。

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2021年は新型コロナウイルス感染症を克服した勝利の年になると思われた。驚異的な速さでワクチンが完成すると、史上類を見ない全世界規模の接種が始まった。
ロックダウン、ソーシャルディスタンス、マスク着用といった光景は過去のものとなり、国境が開かれ、家族が再会し、経済が息を吹き返して、日常生活が戻るとの期待が高まった。

そのワクチン接種がつまずくとは、誰も予想していなかった。米国では、冬と夏に感染者が急増したにもかかわらず、数百万人が接種を受けなかった。
研究が進むにつれてこの感染症への対応が変わっていったために、疑念がふくらんだのだ。

誤情報と怪しげな噂がウイルス並みの速さで広がる。ワクチンは政府の統制手段であり、マスク着用を強いるのは自由の侵害だと声を上げる人たちもいた。
その一方で、世界の多くの地域ではワクチンの入手すらできなかった。


北ジャカルタ市のシリンシンにあるロロタン公営墓地で、新型コロナの犠牲者の墓にバラ水をかけ、花を供える親族。
3月に新設されたこの墓地は7200人分の区画があったが、7月に死者が急増してすぐに埋まり始めた。

世界第4位の人口を抱えるインドネシアでは、ピーク時には1日平均5万人が死亡した。(写真 = ムハンマド・ファドリ)
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”このウイルスがどのように広がり、いかに危険なのかを皆わかっていないのです”
イルマ・ヒダヤナ(インドネシアで新型コロナのデータを収集する団体LaporCovid-19の共同創設者)
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