2022.01.01

ALSと生きる43 3度目のお正月

著者
津久井 教生
声優・音楽家


ALS(筋萎縮性側索硬化症)を検索すると「感覚があるままに体が動かなくなる病気」という説明が多くあります。もう少し詳しい書き方を探すと「筋肉が動かなくなってしまう」という説明がなされています。そして「現在、効果の認定されている治療法がない」と言われていることで知られています。
前回は、ヘルパーさんとどのように関わってきたのかなどをお話ししました、今回は新年のご挨拶と共に、ヘルパーさんとの雑感と昨年のALS罹患の元での声の状況などをお話ししたいと思います。

2019年3月に足の異変を感じ、検査入院を経て9月にALSを告知された津久井教生さん。現在は要介護4で体が動かなくなってきています。それでも奇跡的に出ているのが「声」。2021年もまる1年、ニャンちゅうを演じ続けてくれました。
1月日2日には「ニャンちゅう!世界の正月!放送チュー!」(Eテレ8時〜8時25分)にもさっそく出演するという津久井さんに、1年間演じ切ったニャンちゅうをはじめ、『ちびまる子ちゃん』など声優の仕事の場でのことをお伝えいただきます。





新年のご挨拶

2022年の幕が開きました。ALSに罹患して3回目のお正月を迎えています。ALSの進行は個人差がありますが、私としては楽々と3年目のお正月を迎えて「本当にALSなんですか?」と周囲に笑いながら言われることを目指していました。残念ながらそれは叶わずに、どっぷりとALSの教科書通りの進行の真っ只中にいます。

実はちょっと不思議な気持ちになっています。それはALSに罹患をしたのちにSNSなどを通して知り合った方々が昨年お亡くなりになっているということに対してです。全開で弔事の言葉を発するというよりは、心穏やかに新年を迎えるという胸中になっていることです。それは決して悲観してのマイナスの気持ちからではありません。

昨年までのお正月の日記を見ると、基本的には妻と二人っきりで闘病しているような胸中だったのだと感じます。「いったいどうしたらいいんだろう?」が9割近くを脳の中で占めていました。そこから知り合った方々の「ALSと、こう生きる」という姿勢を見させてもらって、「ALSと、どう生きるか」のヒントをいただいたのだと思います。

2022年の除夜の鐘は、初めてヘルパーさんも一緒に聞く年明けになります。いつも通りに定例のテレビを見て、年越しそばを食べて、楽しく過ごせればと思っています。ちょうど毎月第1第3土曜日に更新されるこの連載が、1月1日に掲載されるという素敵なスケジュールで、皆さんにお読みいただけるのも嬉しいです。早くコロナウィルスが落ち着いて、皆さんにとっても良い年になることをお祈りいたします。本年もよろしくお願いいたします。

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