Science誌の記事の議論で欠けている疑問点もいくつかあります。アフリカのワクチン接種率の低さは事実ですが、むしろアフリカ大陸ではコロナウイルス感染が大きな問題にはなっていません。さらに、オミクロンは短期間で欧米やアジアに感染を拡大したにも関わらず、アフリカ大陸で広がっていません。武漢型コロナウイルスをベースとして開発されたコロナワクチンはそれを回避する変異株の進化を促すと考えられますが、オミクロンはまさにコロナワクチン回避に適応した変異を獲得しています。そして、現在多くのワクチン接種者が実際にオミクロンに感染しています。動物体内で進化したのであればコロナワクチン耐性を獲得する必要はありません。免疫不全者はコロナワクチンに対する抗体を持たないでしょうから、免疫不全者の体内で進化したとしてもコロナワクチン耐性という選択圧は受けないでしょう。またワクチン接種率の低いアフリカで、ワクチン接種者が多く住む隔離された場所は一体どれくらいあるのでしょうか。

アミノ酸置換に影響しないS変異は基本的には選択圧に中立な変異です。S変異は分子進化の速度の指標となる分子時計としても用いられます。中立変異に対してアミノ酸を置換させる変異が圧倒的に多いという事は、ワクチンを回避するためのアミノ酸置換が短期間に一気に入ったという事になります。

常々思うのですが、研究者というのは意外にもいわゆる「常識人」が圧倒的多数派です。そして基本的に「科学者は意図的な捏造などしない」「悪意を持った研究などしない」という性善説に基づいた認識を強く持っています。そのため、その認識を超える事柄に対しては非常に脆弱です。「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである (アルベルト・アインシュタイン)。」私はオミクロンの起源は、性善説に基づく科学や医学の既存の常識を超えているものと考えます。コロナ騒動を考える上では、常識とは従うものではなく疑うべきものだと考えた方が良いのかもしれません。
https://note.com/hiroshi_arakawa/n/nbf409f4975c0