女子高校生2人が町会の役員に 驚きと羨望で問い合わせ殺到 80代とチームで「世代間の交流深める」

 町会・自治会活動といえば、高齢化と役員のなり手不足が課題とされるが、千葉県松戸市に現役高校生2人が役員を務める町会がある。町会長によると、町会・自治会加入率約7割の同市で、この町会の加入率は約100%。新型コロナウイルスの影響で、現在は活動が制限されているが、2人は「世代間の交流を深め、若い人も楽しめるイベントを企画していきたい」とまちの未来へ青写真を描く。(牧田幸夫)
◆驚きと羨望
 市北部の小金原9丁目町会(渋谷寛之会長、会員数約700世帯)。「みんな仲良く、もっと優しいまちに」と昨年4月に新設した地域共生担当の役員に、いずれも高校2年の末永実優さん(17)=県立松戸馬橋高=と嶌田晴菜さん(16)=県立市川工業高=が就任した。
 女子高生役員の誕生は、他の町会から驚きと羨望のまなざしを受けたが、実は2人の活動歴は小学生の頃から。5年生の時に町会の和太鼓チームに入ったのをきっかけに、清掃活動や夏祭りなど町会行事にも熱心に参加。意見や提案も積極的に行い、町会運営の一翼を担ってきた。
 例えば、夏祭りでは、照明の明るさが場所によってまぶしかったり、暗かったりとばらつきがあったが、末永さんの指摘でちょうちんの中は全てLED電球に変えた。屋台は焼きそばやかき氷などが定番化していたが、嶌田さんが「他と同じでは新しいお客さんは来ない」と再検討。子どもに人気の蛍光色のおもちゃを並べて集客につなげた。
 2人は中学、高校では部活動に入らず、和太鼓チームの活動に専念。地域を盛り上げるイベント出演や施設慰問を続け、町会活動にも熱心に取り組んだ。そんな実績十分な2人に渋谷会長が「役員をやってみないか。若い人に町会活動の魅力を伝えてほしい」と声をかけた。
◆「若い人が喜ぶ企画を」
 2人とチームを組むもう1人の地域共生担当の役員が地元老人会会長の砂田好治さん(82)。通学路の見守り活動をしていたこともあり、2人のことは小学生の頃からよく知っている。「彼女たちは行動力がある。3人で力を合わせ、住んでて良かったと思えるまちにしたい」。老人会の催しも「老若男女が参加できるものに変えていく」と改革に前向きだ。
 町会活動に若い世代の目を向けさせるにはどうしたらいいか。末永さんは「町会の個性や独自のイベントや活動をつくることができれば多くの人が参加すると思う」。嶌田さんも「まず若い人が喜ぶ企画を考えたい」と話す。
 昨年12月の市広報紙で2人が紹介されると、渋谷会長のもとには他の町会長らから40件近い問い合わせが殺到。若い世代の地域参加の呼び水になるか注目されている。

東京新聞 2022年1月7日 12時30分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/152874?rct=chiba