岸田文雄首相は11日、外国人の新規入国の原則停止を柱とする新型コロナウイルスの水際対策は「2月末まで現在の骨格を維持する」と表明した。外国人の入国を念頭に「人道上、国益上の観点から必要な対応をする」と述べた。首相官邸で記者団の取材に答えた。

変異型「オミクロン型」の重症化率が低い可能性を踏まえ「マスク着用など冷静な対応をお願いする」と語った。「高齢者などで急速に感染が広がると重症者が発生する割合が高くなるおそれがある」とも触れた。

コロナワクチンの3回目接種を加速する。「(再度の)自衛隊による大規模接種会場の設置など自治体の取り組みを後押しする」と強調した。高齢者接種に関し「900万回分の未使用ワクチンを活用してさらに前倒しする」と言明した。

3月以降は米モデルナ製のワクチン1800万人分を活用し、一般への3回目接種をはやめる方針を示した。12歳未満の子供に対するワクチン接種は「希望者に対してできるだけ早く開始する」と提起した。

在宅・宿泊療養に対応する地域の医療機関数は1万6000に達した。「計画をさらに3割上回る体制が準備できた」と力説した。

米メルク製の飲み薬について「1万5000の医療機関・薬局が登録し、2万人分を届けている」と説いた。米ファイザーの飲み薬も「2月中できるだけ早くの実用化を目指す」と示した。

大学入試は「追試・再追試などにより入試機会を確保する」と説明した。「4月以降の入学を可とするなど柔軟な対応を要請する」と言及した。オミクロン型の濃厚接触者らが大学を受験できるかという懸念があった。

感染者数が増えると保健所や自治体の負担が重くなる。IT(情報技術)を活用した保健所に頼らないネットワークの整備を11日「各都道府県知事に直接依頼する」と明かした。オミクロン型がひろがる地域では「業務の合理化を図る」と訴えた。

オミクロン型は「まだわからないことの方が多い」と唱えた。「(科学的な知見の)集約を進め、必要に応じ臨機応変に対応を変更していく」と話した。

日本経済新聞 2022年1月11日 9:14 (2022年1月11日 9:46更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA110LN0R10C22A1000000/