1872(明治5)年、徴兵制を敷くことを国民に告げる「徴兵告諭」が出された。
その堅苦しい内容の一部を現代風に書けば〈西洋では心身をささげる税のことを血税と呼ぶ。

(国民は)その血をもって国に報いる〉…▲このくだりが大騒ぎを引き起こした、
と作家の故半藤一利さんはエッセー集「歴史のくずかご」(文春文庫)に書いている。

徴兵の義務とは血を搾り取ることだと、誤解が列島を駆け巡ったらしい▲すぐに全国で徴兵制の反対運動が巻き起こった。
この例を引いて半藤さんは〈インターネットやら携帯電話全盛のいま、デマの威力速力たるや…〉と案じている

▲今やその威力は爆発的といえる。コロナ禍で会員制交流サイト(SNS)を通じてデマが世界中にあふれている、と正月の紙面で詳しく伝えていた
▲悪事、千里を走る。古来、悪いうわさほどすぐに広まってきたが、SNSでもまた、衝撃的で偏った情報ほど広がりやすいという。

第5世代(5G)通信システムが感染を加速させている、ワクチンを打つと不妊になる−と数え上げれば切りがない
▲厚生労働省の特設サイトなどで事実のチェックはある程度でき、活用が勧められている。

マスクに手洗いと身近な感染対策に加えて、うそとほんとを見分ける目も、身を守るのに欠かせない。
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