仙台市の2021年の人口動態は増加数が567人のマイナスとなり、初めて減少に転じたことが13日、分かった。22年1月1日時点の推計人口は109万6623。出生数が死亡数を下回る自然減が4年連続で拡大した一方、転入数が転出数を上回る社会増が大幅に縮小し、20年までのように自然減を吸収できなかった。新型コロナウイルスが影響したとみられる。

 10年以降の人口増加数の推移はグラフの通り。

 21年の自然動態は出生が539人(6・8%)減の7381人、死亡が586人(6・4%)増の9794人だった。自然減は2413人となり、20年の1288人の1・8倍に拡大した。市によると、出生は7年ぶりに増加した20年の反動減とみられ、死亡は新型コロナ感染拡大も影響した可能性があるという。


 社会動態も感染拡大に伴う移動自粛の傾向が顕著に表れた。市内転居を含む転出入は、転入が2439人(3・7%)減の6万3595人、転出が1124人(1・8%)減の6万1757人。社会増は1846人となり、20年の3160人から41・6%減少した。

 外国人の転入が2815人と少なかった。20年に比べ2割減、コロナ前の19年から半減した。外国人は2年連続の転出超過で1・7倍に拡大した。日本人が3174人の転入超過だったものの、外国人の転出超過が大きく、全体の社会増を押し下げる結果となった。

 市人口は1987年に旧宮城県宮城町、88年に旧泉市、旧秋保町と合併後、右肩上がりで増加し、99年には100万の大台を突破した。東日本大震災後は市外の被災地、東北各地からの転入が相次ぎ、社会増が続く。自然動態は少子高齢化の進展で2017年に初めて減少。社会増との相殺で人口の伸びは続いたが、増加幅は縮小傾向だった。人口減少は1989年の政令市移行後初めて。

 市は2021年1月に公表した新たな将来人口予測で、減少局面の到来が5年遅くなり、27年の109万9000をピークに減少に転じると推計した。新型コロナの影響は予測が難しく、加味していなかった。現在は20年国勢調査の結果などを基に予測し直している。

 市政策企画課の綾部正行課長は「新型コロナの影響が一定程度ある。(人口動向の)トレンドが大きく変わったとは捉えておらず、現時点で減少局面に入ったとは断言できない。ただ、コロナ収束後に社会増が回復する保証はない。仙台を『選ばれる街』にする施策が重要になる」と話した。

河北新報 2022年01月14日 06:00
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