新型コロナウイルスの爆発的感染拡大が続くなか、岸田文雄政権の「ワクチン政策」に注目が集まっている。 

感染力の高い新たな変異株「オミクロン株」に対峙(たいじ)するには、
国民(約1億2500万人)に行き渡るワクチンを手に入れ、「3回目の接種」を急ぐ必要があるが、一般人の接種が本格化するのは今春以後という。

堀内詔子ワクチン担当相は初入閣としては頑張っているが、外相や防衛相を経験した後にワクチン担当相となった前任者の河野太郎氏の交渉力や実行力、
発信力と比較するのは酷だ。日米関係の揺らぎも指摘されており、岸田政権は大丈夫なのか。



「3回目のワクチン接種は、用意が整った自治体からすべきだ。供給に問題はない。ある分を先に打てばよい。平等よりスピードだ」
河野氏は昨年12月17日、自身のツイッターでこう発信した。

首相官邸のホームページによると、今月14日時点で、ワクチンの2回接種完了者は78・6%だが、3回接種完了者は0・9%しかいない。

厚労省によると、国には現在、1、2回目の接種で使うはずだった計2800万回分のワクチンがあり、
このほか地方自治体や病院に計約900万回分、計約3700万回分の在庫があるというが、とても全国民に行き渡る量ではない。

ワクチン調達の契約日や契約先、内容は別表の通りだ。大半が菅義偉前政権時代で、岸田政権でも2回ある。
ただ、気になるワクチンの到着日や量については、なぜか厚労省は「契約先の企業との関係もある」という理由で情報公開していない。

オミクロン株の影響もあり、これまでにない急激なペースで新規感染者が増えるなか、
国民としては岸田政権のワクチン確保に期待したいが、不安を感じざるを得ないのが現実だ。

そもそも、堀内氏は昨年12月の臨時国会で、野党側から「今後のワクチンの配分量と配送スケジュールの見通し」を問われた際、
しどろもどろな答弁で批判を浴びた。今後、どのように自治体などに配分するかなど、堀内氏がタイムリーな情報発信を強めたのは今月に入ってからだ。

ちなみに、前任の河野氏は持ち味の「突破力」を生かし、ワクチン行政の権限を自らに集中して積極的に情報を発信していた。
ワクチンの調達でも自ら交渉役を買って出て、菅前首相が号令をかけた「1日100万人接種」体制を実現させた。

欧米などからのワクチン調達が不透明な背景として、岸田政権下での「日米関係の揺らぎ」を懸念する見方もある。

岸田首相は第2次政権発足(昨年11月10日)にあたり、政界屈指の「親中派」である林芳正氏を外相を起用した。
ジョー・バイデン米大統領が同年12月6日、中国当局による新疆ウイグル自治区での人権弾圧を受け、
北京冬季五輪の「外交的ボイコット」を表明した際も、岸田首相は「それぞれの国で立場や考えがある」といい、同月24日まで決断しなかった。

まさか欧米の企業が、自国政府の姿勢に忖度(そんたく)したのか?
こうした見方について、自民党有力議員は「岸田―林ラインへの米国の不信感と、ワクチン調達は無関係だろう」と語った。

岸田政権のワクチン政策や対米外交をどう見るか。

元通産官僚で評論家の八幡和郎氏は「岸田政権は、すべてが生ぬるい。
ワクチン対応でも、期待以上の仕事をしようとせず、情報発信力も弱く、欧米諸国に比べて『3回目の接種』は遅れに遅れている。

日米関係をより戦略的に前進させようという『熱さ』もない。今後、オミクロン株以上の変異株が出現した際に、
ワクチンを十分調達できるか、危惧の念しかない。『火事場のバカ力』を発揮し、ワクチン確保に奔走した菅前政権の突破力を見習うべきだ」と語っている。
https://www.zakzak.co.jp/article/20220116-Z6M46XZTIFK3HOA2Y33LRITRM4/#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3