2022年1月17日 17時08分

お正月にもらって机の中で大切にしまっておいたお年玉。何かと入り用な年末にポチ袋を開けたら、中身のお金が半分になっていた…。
今、中東のある国でこんな事態が起きているんです。
(イスタンブール支局 佐野圭崇支局長)






日本に人気 あの観光地に異変?

三日月と星があしらわれた赤い国旗、飛び交うカモメ。

ここはボスポラス海峡を挟んでアジアとヨーロッパにまたがる中東の国、トルコ。日本人にもなじみ深い最大都市イスタンブールで、知る人ぞ知るローカルフードが「サバサンド」です。


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「サバサンド」

訪れた人の中には、焼きサバと生タマネギの、シンプルな組み合わせのとりこになった人もいることでしょう。

私が赴任した去年7月には、1つ12リラ(当時のレートで150円ほど)でした。ところが、年末には30リラに値上がり。

サバの輸入価格が上昇したためだといいます。





「年金だけで暮らせない」街から聞こえる悲鳴

歴史的な町並みが残る旧市街に、ところ狭しとテントの店がひしめく青空市場。一見、活気あふれるいつもの光景ですが、ここにも異変が起きていました。
あちこちで値札が貼り替えられた痕跡を見かけるのです。

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旧市街の青空市場

買い物客に話しかけると悲鳴にも近い声が…。

「毎日のようにすべてが値上がりしていく」

「給料が足りず買い物ができない」

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乳製品を売る店 

例えば、乳製品は前の月と比べ軒並み5割の値上げ。
店主は「チーズはキロ買いが基本だったのに、今は250グラム単位で買う人もいる」と教えてくれました。

スーパーより安く品物が手に入るこの市場でさえ、モノが買えなくなっているのです。


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公営のパン屋には絶えず客が

市場から徒歩5分のパン屋には、行列ができていました。
ここは格安でパンを提供する市営のスタンドです。

長さ30センチ余りのバゲットが1本1.5リラ(=約12円)、通常の半値以下で買えます。

一般の店で買い物する余裕のない人が増えているのです。

「年金だけでは暮らしていけない。いつも腹が空いているけどお金が足りない」

毎日、バゲット2本だけで生活しているという男性はこう訴えました。

撮影を始めるとすぐに「俺たちに恥をかかせるつもりか!」と、行列の中から怒号が飛んできました。

安いパンしか買えない惨めな姿をさらしてくれるな、というのです。
正直、格安のパンを買う後ろめたさにまで想像力が及ばず、今、人々が抱えている、暮らしへの不安やストレスを思い知らされた瞬間でした。

スタンドと行列に頭を下げて、その場を後にしました。




1年で半分になったトルコのお金の価値

トルコの人たちを苦しめているインフレは、日本からは想像がつかないほど急激です。

統計局が発表した去年12月の物価上昇率は36%。
日本の消費税が2パーセント上がったときの負担感を思い出すと、途方もない数字です。

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このインフレを加速させているのが、通貨リラの値下がりです。
去年はじめに1ドル=7リラ台だったのが、12月には一時、18リラ台に。リラの価値は1年で半分以下にまで下がりました。

例えるなら「お正月にもらったお年玉をとっておき、いざ、年の暮れに使おうと思ったら、予定していた半分以下の買い物しかできなくなっていた」という状況です。




背景に常識破りの「利下げ」
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
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