性別にとらわれない「ジェンダーレス」の動きが学校にも広がる中、宮城県白石市の市立白石中学校で、生徒が主体となり男女で区別のない運動着を完成させた。今年4月から導入する。

 生徒会長で同校3年の一條結実さん(15)は、ジェンダー平等などを掲げた国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を意識した学校づくりを同校の樋口英明校長(59)に訴え、先頭に立って取り組みを推進。「学校生活、日常の中でSDGsを考えたとき、この学校ではできていないのではと疑問を持ったのが最初のきっかけだった」と話す。
 同校の運動着は男子が青、女子がピンクで約35年間変わっていなかった。数年前から男女同一の運動着を求める声はあったが、「お下がりが使えない」と保護者から意見が上がり、在庫品処理なども課題だった。
 樋口校長から助言を受け、生徒会が行ったアンケート調査では、全校生徒の約8割が変更に賛成。学校側の協力を得て、全校生徒の保護者らにも聞いたところ、乾きやすく、肌に優しい生地の新しい運動着を望む声が届いた。
 調査を踏まえ、生徒や教員が中心となった検討委員会が発足。スクールカラーのえび茶色と、仙台藩主・伊達家の旗印に使われた濃紺を基調とした新しい運動着ができた。
 樋口校長は「一條さんの熱意に応えたいと思った」と振り返る。教員主導で制度を変えるのは容易だが、生徒が主体でなければ学校づくりはうまくいかないとの考えからだ。樋口校長は「おかしいのではないかというものを、ためらわずに変えていくことが必要だ」と話した。
 一條さんは今後について、「一人ひとりがSDGsを意識して他の人に呼び掛け、生徒が居やすい学校を目指したい」と語った。
 ジェンダー学に詳しい東北大の小川真理子准教授は「生徒の主体的な取り組みは学校全体の活性化にもつながる」と指摘。「多様な性への配慮で、多くの生徒にとって過ごしやすい学校生活となる」と話している。

時事通信 2022年01月19日13時31分
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