「『ワクチンを打つと、1年後にゾンビ化するらしいから絶対に打たないで』そう妻から言われた時は、何の冗談かと思いました」

と話す夫の徹さんは現在、妻の真美さんと子どもが住む自宅から2駅離れたところにある賃貸アパートに暮らしています。
別居婚をはじめたのは昨年、新型コロナウイルスのワクチン接種券が発送されてきてから間もなくでした。

徹さん自身は、「まわりがみんな受けるなら、自分も受けたほうが働きやすいのではないか」と判断。
すでに職場にてワクチン接種の予約をしていただけに、
接客業の仕事をしている真美さんも当然自分と同じ考えだろうと思い込んでいたといいます。

徹さんが、妻がワクチン接種を拒んでいることを知ったのは、夫婦の共通の友人とのグループラインに送られてきた
「真美さんのお話を聞いて、私もワクチンを打つのをやめました。政府の陰謀には騙されません!」というメッセージでした。

「何かがおかしい」と気づいた徹さんはその晩、早速妻を問いただしました。
そこで聞かされたのが、「ワクチン接種によるゾンビ化説」だったのです。

妻はさらに「頭のいい徹なら、そんなことくらい理解していると思っていた。ワクチンは私たちの体内で毒を出し、
最後は脳に回って死ぬらしい。政府の狙いは弱った私たちを支配することなんだと思う」などと、
誰が聞いても突拍子もないとわかる言葉が返ってきたのです。

「だからワクチンなんて絶対に打っちゃダメ」と真顔で必死に訴えてくる妻に対し、底知れぬ不気味さを感じたものの、
「長引くコロナ禍で疲労し、ストレスがたまったんだろう」と自分に言い聞かせ、しばらく妻の言動を放っておくことにした徹さん。
彼が、自分のしたことが間違っていたと気づくのはそれから1週間後でした。
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