※2022年02月02日(水)17時30分 Newsweek

<法律がこの技術の使用を許可すればの話だが、最悪の出生率に直面する国の未来にとって突破口になるかもしれない、と中国の科学者たちは期待を込める>

中国科学院傘下の蘇州医用生体工学研究所の研究チームは昨年12月、人工子宮の環境で胎児に成長する胚を監視し、世話をする人工知能システム「AIナニー(乳母)」を開発したことを発表した。


中国の医療専門誌『Journal of Biomedical Engineering』に掲載されたレポートによると、この「AIナニー」は、すでに多数の胚の世話を進めている。人工子宮あるいは「長期胚培養装置」と呼ばれる容器の中で、栄養価の高い液体で満たされたキューブを並べてマウスの胚を成長させるという。

この技術の応用を進めれば、人間の女性の胎内で育てることなく、体外で胎児を安全かつ効率的に成長させる可能性があると、同論文は述べている。

2週間を過ぎたヒトの胚の実験研究は禁止
今回開発された「AIナニー」は、24時間体制で胚を上下させながら、前例がないレベルで精緻に胚を監視することができる、としている。胚のわずかな変化の兆候を検出し、二酸化炭素や栄養の投入、環境を微調整する。

またこのシステムは、健康状態や発育の可能性によって胚をランク付けすることも可能だ。胚に重大な欠陥が生じたり死んだ場合は、機械から警告が発され、技術者は容器から胚を取り出す。

現在の国際法では、2週間を過ぎたヒトの胚の実験研究は禁止されている。

しかし、「典型的なヒトの胚発生の生理学には、まだ多くの未解決の謎がある」ためそれ以降の段階の研究は重要であると、タブーとされている領域に踏み込む必要性を、研究を率いた孫氏らは示唆している。

「この研究は、生命の起源とヒトの胚発生のさらなる理解に役立つだけでなく、出生異常やその他の生殖医療問題を解決するための理論的根拠を示すはずです」

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