コロナ禍で繁華街の景色も大きく変わった。多くの飲食店がシャッターを閉じるなかで、ふと目につくのが新規開店する「中華料理店」。象徴的なのが東京・豊島区の池袋駅北口エリアだ。コロナ禍にもかかわらず、中華料理店の開店ラッシュが起き、“新・中華街”として人気スポットになっている。

 その多くが中国人による経営で、これまでの日本人好みにアレンジされた中華料理ではなく、本場感が強い中国人向けの“ガチ中華”が食べられるとして、在日中国人だけでなく、日本の若い世代からも注目されている。テレビの情報番組でも続々と特集が組まれているのだ。

 街を歩くと、「熟女キャバクラ」や「DVD鑑賞ルーム」など、ケバケバしい看板の合間に、それらに負けないくらいの派手な中国語の簡体字で書かれた中華料理店の看板が見えてくる。横浜や神戸の中華街と異なり、すべてが中華一色ではなく、日本の飲食店や物販店に挟まるように混在するのが“新・中華街”の特徴だ。

 肉団子や豚足の煮込み料理などを供する中華料理店で中国人の店員に話しかけると、中国語でこう語った。

「配送業者が潰れて空き店舗ができたから、去年の10月にオープンしました。中国に比べて日本は政府の補助が手厚いね。なぜこんな時期にオープンしたかって? 日本人は保守的だから、勝率が6割はないと賭けに出ようとしないでしょ。中国人は4割でも賭ける。バクチだね」

 池袋で中華料理店「楽楽屋」を営む金京姫社長も、コロナ禍で新装移転させた。

「池袋のいい立地はほとんど空きが出なかったけど、コロナ禍になって空き店舗を探しやすくなりましたね。うちも昨年6月に2つの旧店舗を合併して近くのビルに移転しました。家賃は特別安いともいえないけど、より大きい店を出すにはチャンスだなと思った。“ガチ中華”は食事メインのお客さんも多いから、お酒の提供が禁止されても影響は比較的小さいんです」

 黒竜江省出身の金社長はこう続ける。

「(中国からの)医療ツーリズムなど観光客向けの商売がなくなり、不動産ビジネスも本国のお客さんが減った。だから、日本で商売している中国人投資家のお金が飲食店に流れているかもしれない。今はコロナで様々な融資を受けやすいから2000万〜3000万円あれば飲食ビジネスを始められます」

 コロナ禍で空き店舗が増えたことに加えて、店舗を借りる際のハードルが下がったことも追い風となっているようだ。

 同じく池袋に本店を構える「四川麻辣湯」の女性オーナーはこう語る。

「うちは去年5月に渋谷の一等地、センター街に新店舗を出しましたよ。コロナ前は審査が厳しかったから外国人が良い物権を借りることはまずできなかった、特に1階の路面店は無理でしたが、今は競争が少なくなったので外国人でも借りられるチャンスが増えた。家賃は下がらないけれど、それまで保証金が家賃8か月〜1年分くらい必要だったのが半年分くらいで済んだ。この(池袋店舗の)隣の店も焼き鳥屋さんだったけど、コロナ禍になって刀削麺の店に変わった。コロナ中のオープンはリスクもあるけど、チャンスだと思う」

https://news.yahoo.co.jp/articles/01e3073e398ff97e67328a13d9e5dce52722ecf7