クーデターで実権を握ったミャンマー国軍の幹部や幹部候補生を、防衛省が昨年2月のクーデター後にも留学生として受入れ、教育訓練を続けている。授業料は免除し、給付金も提供。同省は「文民統制下の自衛隊を理解してもらい、本国で生かしてもらうため」と説明するが、国際人権団体は「多数の市民を殺害した軍への支援につながる」と批判。受け入れを中止するよう求めている。

 この取り組みは、委託を受けて教育訓練ができるとした自衛隊法に基づく。これまで36カ国の軍関係者を受け入れており、ミャンマーは2015年に開始。20年度はミャンマーを含む15カ国にのぼる。

 これまで受け入れたミャンマー軍関係者は20〜30代の計30人。軍幹部17人を防衛研究所や自衛隊の幹部学校などで、幹部候補生13人を防衛大学校で受け入れた。現在在籍するのは10人で、このうち幹部2人(少佐、大尉)と幹部候補生2人の計4人はクーデター後に受け入れていた。

「人的関係築ける」と防衛省 「軍の暴力後押し」批判も
 幹部は安全保障に関する実践的な教育を数カ月〜1年ほど受け、幹部候補生は基本的な教育や実弾射撃を含む訓練を5年受ける。同法は授業料の徴収や給付金の支給ができると定めるが、同国は発展途上国に当たるとの理由から、年55万2千円の授業料を免除。幹部に月14万4千円、幹部候補生に月8万3千円の給付金を支給している。昨年4月時点で給付金の予算額は約5800万円だった。

2022/2/7 8:00
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