2022/2/8 22:28

 7日にフランスのマクロン大統領と会談したロシアのプーチン大統領は、北大西洋条約機構(NATO)の東方不拡大の確約などを柱とするロシアの要求が拒否されたことに改めて不満を示す一方、ロシアの要求に一定の理解を示したマクロン氏を評価した。米国との交渉が続く中、ロシアはNATO首脳陣を切り崩し、要求を聞き入れるよう米国に圧力をかける思惑だとみられる。

 プーチン氏は会談後の記者会見で、ロシアの主要な要求に米国やNATOは回答を避けた−と批判。ただ、「これで交渉が終わるとは思わない」とも述べ、ロシアの立場を米国とNATOに再提示するとした。

 プーチン氏は、欧州の安全保障の確立にはロシアとの対話が必要だとする認識を示したマクロン氏を肯定的に評価。ウクライナ国境で軍備を増強し、欧米側に侵攻を危惧させて交渉に引き込めたことに手応えを感じているもようだ。

 プーチン氏は今後、欧米側の足並みの乱れを誘い、米国との交渉を有利に運ぶ思惑だとみられる。

 実際、プーチン氏は1月下旬以降、マクロン氏やイタリアのドラギ首相、ハンガリーのオルバン首相らと積極的に接触。欧州がロシアに依存する天然ガスも武器に自身の要求の正当性を認めさせようとしてきた。

 プーチン氏は15日にはドイツのショルツ首相ともモスクワで会談する予定だ。脱原発の政策上、独露間の天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の稼働を必要とするショルツ氏が、会談でプーチン氏に毅然(きぜん)とした態度を示せない可能性も指摘される。

 仏独は、プーチン氏が「緊張緩和にはウクライナによる履行が不可欠だ」と主張するウクライナ東部紛争の和平合意の当事国。プーチン氏は仏独首脳を動かし、ウクライナに合意履行を迫る構えも見せている。

ソース https://www.sankei.com/article/20220208-UOGNIOYNZZO6XAYIOHXWJ33PJU/