コロナ鎖国で停滞する外国からの対日投資


外国人の入国を制限する日本の厳しい水際政策については、経団連をはじめとする日本の経済団体や企業、
研究機関などが、その入国制限のために事業に支障が出ており、日本の競争力を削ぐとして批判をしてきた。

日本最大の外国経済団体である在日アメリカ商工会議所(ACCJ)も声を上げる組織の一つだ。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」に対し、
ACCJの元会頭で特別顧問のクリストファー・ラフルアーは、非居住者の外国人の入国禁止措置によって、外国企業による日本での事業は消極化するだろうと述べた。

「日本の入国規制は、(東京を国際金融センターにしようという政府の)構想を大きく後退させるでしょう。
また率直に言って、このような政策からは、外国企業の事業や外国からの投資に対して信頼のおける受け入れ国であろうと日本がしているのか、疑念が湧きます」とラフルアーは言う。

ACCJは、日本で事業を行うアメリカ企業によって1948年に設立され、日米を含む40カ国以上の600社以上の企業、3000名以上の会員が加盟する経済団体だ。
日米の経済関係のさらなる進展、日本における国際的なビジネス環境の強化、会員企業の支援等を目的とする組織だ。日米政府にも政策提言を行い、影響力もある。

英米やEUの他のG7の国は、ワクチン接種が進むにつれ入国規制を緩和し、事業上必要な人の移動が容易になった。
一方、日本はその流れに逆行するように、昨年12月以降規制を強化しており、国際的に見て、特にマイナスに見えるのだという。

実際、日本の入国規制のために、一部企業は、新たな従業員や専門家を日本に呼び寄せることができず、日本での事業活動を最適な状態にするのが困難になっているとラフルアーは言う。

また、労働力、高度人材が不足する日本において、外国人を呼び寄せられないことで困難な状況にあるのは外資系企業だけではない。
楽天の三木谷浩史会長も、たびたび水際対策を批判してきたが、同社が新たに採用した数多くのインド人エンジニアは、まだ来日できない状態にあるという。

世界保健機関(WHO)は、渡航禁止措置には、経済的・社会的ストレスを与え続けるだけで「効果がない」とし、各国に渡航禁止措置の緩和を勧告している。
しかし、外国人の入国規制については、国民に支持されているとして日本の政権側も譲る姿勢を見せない。

岸田首相は、1月に開催された世界経済フォーラムにおいて、「高齢者など感染の危険性が高い弱者を保護する」意図があると述べ、日本国民はより厳しい国境規則を望んでいると述べている。

しかし、充分な効果もないのに、日本の経済力を削ぐような入国政策を、このまま維持していいのだろうか。
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