ヘイトスピーチ対策条例の制定を目指す県は8日、有識者でつくる検討委員会の第2回会合を開き、新たな素案を示した。昨年12月に出した旧素案から、ヘイトスピーチをした人物の氏名を公表する仕組みを削除。事前抑止の具体策がなくなった。県は検討委を今回で終了し、パブリックコメント(意見公募)を経て早期に制定する考え。

 旧素案では、県が審査会の意見を聞いた上で氏名を公表することにしていた。昨年12月の第1回会合で委員から「この段階で必要なのか」「取り返しがつかなくなる」などの慎重意見が出て、県が削除した。

 発言の概要を公表する仕組みは残した。「県民に許されない行為が何かを情報提供し、発言者にも姿勢を示す」と説明。旧素案で「拡散防止措置」と表記していた部分は「インターネット上で行われた場合、法務局やプロバイダーに削除要請する」などとより明確にした。

 8日の第2回会合はオンラインで開かれ、全面非公開だった。会長の島袋秀勝弁護士は事後に会見し、高校生が失明した事案を機にネット上で顕在化した沖縄へのヘイトスピーチを対象にするか議論したと説明。「沖縄ヘイトをどう規定するか、難しいという意見があった」と述べた。

 県子ども生活福祉部の名渡山晶子部長は「ヘイトスピーチ解消法に罰則がない中で、罰則を定義できるか悩んだ。状況を見て考えるのも手ではないか、という意見があった」と語った。

沖縄タイムス 2022年2月9日 08:42
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/907919