ヨミドクター2022年2月9日
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20220208-OYTET50011/

禁煙ジャーナル」が緊急声明
 新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、感染防止のために「密」を避けようと、喫煙所の閉鎖や使用中止の措置が一部でとられるようになった。ところが、たばこ問題情報誌「禁煙ジャーナル」編集長の渡辺文学さんによると、かつてない感染力を持つオミクロン株による第6波の渦中においても、まだまだ公共の場所で喫煙所の使用が続けられている現状があるという。渡辺さんは2月2日、「禁煙ジャーナル緊急声明」とうたって、「コロナ禍の抜本的対策のため 喫煙所の閉鎖を!」と自治体などに強く呼びかけている。

喫煙は新型コロナのリスク要因に
 緊急声明では、「喫煙所の閉鎖・廃止を求める八つの理由」として、次のような内容を述べている。

 (1)喫煙によって新型コロナにかかりやすくなる、
 (2)喫煙によって肺が傷つき、新型コロナの重症化を招く。喫煙は、がんや心臓病、脳卒中、COPD、糖尿病の原因になり、重症化のリスクとなる、
 (3)喫煙によって新型コロナワクチンの効果が薄れる、
 (4)狭い喫煙所でマスクを外してたばこを吸うと、感染リスクが高まる。

医療資源に負荷をかけ圧迫する要因にも
 (5)喫煙は個人の自由で済まされず、医療資源に大きな負荷をかけ、医療を圧迫して、社会の不安定化のリスク要因となる、
 (6)喫煙可能店や喫煙目的店などで喫煙ができれば、喫煙者本人だけでなく、利用客への感染のリスクは避けられない、(7)アフターコロナの時代へ社会が様変わりするためにも、公共の場での喫煙可能スペースの閉鎖が不可欠、(8)喫煙者にはこの機会に禁煙を勧奨してほしい。

一時的な使用中止ではなく廃止を

 新型コロナの流行は、健康へのリスク低減のために個人ができる取り組みとして、禁煙の大切さを改めて認識させるものとなっている。喫煙所の閉鎖がきっかけとなって、これを機にたばこをやめようと決断する人が一人でも増えることは、アフターコロナの社会においても資するものは大きい。

 喫煙所のより一層の撤廃を進めるとともに、現在、一時的に使用が中止されている喫煙所が、コロナ後にくれぐれも再開されることのないよう、強く願う。(田村良彦 読売新聞専門委員)