【モスクワ=石川陽平】ロシアのプーチン大統領は14日、モスクワでラブロフ外相と会い、欧州の安全保障に関する米国や北大西洋条約機構(NATO)との協議を継続することを了承した。米欧がロシアによる週内の「侵攻」の可能性について警戒を強めるなか、ロシア側の協議継続意向が緊張緩和につながるかどうかはなお予断を許さない。

協議継続はラブロフ外相が提案。国営テレビが会談の様子を放映した。

ロシアは昨年12月にNATOの東方拡大停止などを盛り込んだ欧州安保に関する合意案を提示。これに対して米国は1月下旬にロシア側に書面回答を提示したが、NATOの東方拡大停止など主要な要求が拒否されていることからラブロフ外相は不満を示した。

一方で、ラブロフ氏はロシアの主要な要求を巡り、米国やNATOと合意に至る「チャンスはいつもある」と述べ、外交努力を続けると強調した。書面回答に軍備管理の提案があったことも評価し、両者に約10ページの回答を用意したと述べた。

仏大統領府によると、12日に電話で協議したプーチン氏とマクロン仏大統領は欧州安保を巡る対話を継続することで一致した。ロシア政府は近く米国とNATOに書面で対話継続の意向や詳細な考え方を伝える見通し。タス通信によると、ペスコフ大統領報道官は14日、プーチン氏がロシアの回答内容を「適切な時期に」最終的に承認すると述べた。

プーチン大統領は14日、ショイグ国防相からも報告も受けた。ショイグ氏は全軍管区で実施していた軍事演習が「一部は終わりつつあり、他も近く終わる」と述べた。ベラルーシでの合同演習も含めた発言とみられており、ロシアが当面の軍事的緊張の緩和と本格的な安保協議に向かうかが今後の焦点になる。

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