日本弁護士連合会は、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、社会的な合意を得る手続きが不十分などとして反対する意見書を岸田文雄首相らに提出した。海に流すのではなく、ほかの方法を検討するよう求めている。

意見書は、技術者や研究者らでつくる「原子力市民委員会」が、処理水をセメントや砂と混ぜて固めて保管する手法などを提案した点を重視。市民委員会へのヒアリングをしないまま海洋放出が決まったとして、「ほかの方法を検討するべきだ」と訴えた。

「儀式的な会合だった」

国は一昨年、農林水産団体や県内外の首長から意見を聞く場を7回開き、関係各省の副大臣が出席した。だが、質疑がほとんどなかったことから、意見書は「儀式的な会合だった」と批判。
「国と東電は、海洋放出という結論ありきでしか説明会を開いていない。多くの市民の声を聴き、対策に反映させる姿勢とはいえない」と強調した。

日弁連は、経済産業相や環境相、原子力規制委員長にも意見書を送った。(福地慶太郎)

朝日新聞デジタル
2022年2月15日 10時48分
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