https://news.yahoo.co.jp/articles/38305bc15d5be0196b5fc0635d199433885cc374
■物価は上がれど給料が上がらず…
 足許で、世界的に物価の上昇圧力が一段と高まっている。
その背景には、オミクロン株などの感染再拡大によって各国で動線が寸断され、サプライチェーンが混乱したことがある。
それに加えて、脱炭素や異常気象、ウクライナ問題による地政学リスクの高まりで、穀物や資源などの価格が上昇している。

わが国でも、物価上昇が少しずつ顕在化している。
その一方、国内ではなかなか給料が上がらない状況が続きそうだ。
給与が上がりにくく、物価が上昇すると、当然、私たちの暮らしは苦しくなる。
最近のわが国の貿易状況を見ると、輸出品の競争力が低下する一方、輸入品の価格上昇が顕著になっている。
有体に言うと、わが国の経済力が低下しているということだ。

今後もこうした状況が続くようだと、私たちが欲しいと思うものを海外から輸入することが難しくなる。
海外から原油やLNGを欲しいだけ輸入できなくなると、国内のエネルギー価格は上昇する。
また、カニやマグロなどの魚貝類の輸入もままならなくなるかもしれない。
その場合には、私たちは生活レベルを落とさざるを得なくなる。

■高まる世界的な物価上昇圧力
物価の推移を示す経済指標には、生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)の2つがある。
生産者物価指数は卸売物価指数とも呼ばれる。
わが国では企業物価指数として日本銀行が公表している。

世界全体で卸売物価の上昇は鮮明だ。
1月の米PPIは前月比で1.0%、前年同月比で9.7%上昇した。
いずれも事前予想を上回った。
米国では、旺盛な需要を背景に企業はコストを最終価格に転嫁している。
そのためCPIも上昇している。1月のCPIは前年同月比7.5%上昇した。
1982年2月以来の高さだ。

その他の国や地域のCPI上昇ペースにはばらつきがあるが、サプライチェーンの寸断や人手不足による賃金の上昇圧力を背景に、
徐々にコストを転嫁せざるを得なくなる企業は増える。

世界的にCPIも上昇するだろう。
物価の上昇が続けば、その国の通貨の価値は減価する。
その展開を阻止するために米国の連邦準備制度理事会(FRB)はかなり急速に利上げとバランスシート縮小による流動性吸収に取り組まざるを得なくなっている。
そのほか、英国、メキシコ、韓国などの中央銀行が物価上昇の圧力を抑えるために利上げを実施している。
年内に欧州中央銀行(ECB)が利上げに踏み切るとの観測も浮上している。

わが国でも世界的な供給制約の深刻化を背景に物価は上昇している。
4月以降は昨春に実施された携帯電話料金引き下げの効果が外れる。
それによってCPIは1ポイント程度押し上げられる。

ただし、2021年10〜12月期のGDPデフレータは前期比0.8%下落(季節調整値、速報値)した。
デフレータの下落は3四半期連続だ。
それは国内の需要が減少していることを示唆する。

■徐々に苦しさ増すわが国での生活

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