https://news.yahoo.co.jp/articles/ebde4fd36b3d68b704e28fc00e701a96133191ad
 エジプトのツタンカーメン王の墓から発見されている鉄剣。
紀元前14世紀のものというだけでも大いなるロマンだけれど、その時代には、まだ鉄の製造技術がなかったと考えられていることから、研究者たちの耳目を集めてきた。
千葉工業大学地球学研究センターと惑星探査研究センター所長・松井孝典氏が率いる研究チームは、エジプト考古学博物館で
ポータブル蛍光X線分析装置を使ってツタンカーメンの鉄剣を分析。鉄剣が低温鍛造により製造されたこと、そしてエジプト国外から持ち込まれた可能性があることを明らかにした。
この研究成果は、米国科学雑誌「Meteoritics and Planetary Science」電子版に掲載された。

2016年、イタリアの研究チームがこの鉄剣の調査を行い、鉄・ニッケル・コバルト濃度の測定から、鉄剣の材料が鉄隕石であることを確認しているが、
鉄隕石からの鉄剣の製造方法については明らかにされていなかった。
今回の鉄剣の元素分布の分析では、1925年の発掘当時と比べさびや腐食がほとんど進んでいないこと、また隕石の包有物である硫化鉄包有物が保存されていることなどから、
低温鍛造により製造されたことを示すものと結論づけた。

さらに、金の柄に少量含まれるカルシウムは、装飾物を接着するしっくいに由来すると考えられるが、エジプトでのしっくいの利用は、
ツタンカーメン王の時代の千年以上後から始まったとされていること、またヒッタイト帝国(現トルコ付近)の隣国であるミタンニから
ツタンカーメンの祖父である アメンホテップIII世に鉄剣が送られたと記す古文書があることなどから、エジプト国外から持ち込まれた可能性が大きいとしている。