ロシア軍の侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領の評価が欧米メディアで高まっている。「私はここにいる」と首都キエフを離れていないことを強調し、場所を転々と変えて動画を公表。軍や国民を勇気づけるメッセージを発信している。欧米メディアでは「戦時大統領」(英BBC放送)になりつつあるとの見方も出ている。

米CNNなどによると、ゼレンスキー氏は26日、1人で日中の街中に立っている30秒足らずの自撮り動画を公表し、「私はここにいる。武器を捨ててはいない。国を守り続ける。われわれの土地、国を守る。ウクライナに栄光あれ」と訴えた。

25日に公開された動画では、夜間の街頭に首相ら側近とともに立ち、「みんなここにいる。独立を守る」と明言した。スーツを脱いだ軍服姿で国民を鼓舞するメッセージを発信した。

プーチン露大統領は25日、ゼレンスキー政権を「麻薬中毒者とネオナチの集団」と呼び、露メディアでは侵攻を正当化する報道が続いている。ゼレンスキー氏はロシアの情報戦にインターネットを駆使して応戦している形だ。

人気コメディアン出身のゼレンスキー氏の支持率は露の侵攻直前、19%台に落ち込んでいた。しかし、ロシア軍が首都に迫り、自身が「ロシアの1番目の敵」であることを認識しながらも、一歩も引かない姿勢に信頼を寄せるウクライナ市民もいる。

東部ドニプロに住む女性(27)はSNS(会員制交流サイト)での産経新聞の取材に、「(ゼレンスキー氏は)できることをすべてやっていると思う。開戦後は顔つきまで変わってきた」と評した。(ジェシュフ=ポーランド南部 佐藤貴生)

産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/8aa63e02efa0b8d32e1576dff852c3f3d60e225d