https://mainichi.jp/articles/20220304/k00/00m/030/061000c

 ウクライナに侵攻するロシアのプーチン大統領は3日のロシアの安全保障会議で、ウクライナ側が「住宅街に重火器を配備し、民間人を『人間の盾』にしている」と非難した。同日のマクロン仏大統領との電話協議では、ロシア軍が「軍事施設だけ」を狙っているとも強調。相次ぐ市民の犠牲については、ウクライナ側に責任があるとの考えを示した。

 プーチン氏は安全保障会議で「我々はまさにネオナチと戦っている」と述べ、ウクライナ政府側をネオナチ扱いした。そのうえでウクライナ側が「幼稚園や病院にも戦車・大砲を配置している」との持論を展開し、ロシア軍はウクライナの非武装化と非ナチ化のために戦っていると主張した。また、死亡したロシア軍人に約700万ルーブル(約730万円)の弔慰金を払うことも明かし、「特別軍事作戦は計画通りに進んでいる」と強調した。

 一方、仏露の両大統領府によると、約1時間半に及んだ3日の電話協議の際、マクロン氏はこうした「ウクライナのナチズム」について、「現実には存在せず、攻撃を正当化できるものではない」とプーチン氏に反論した。一方、プーチン氏は「(ウクライナの首都)キエフや他の都市にミサイル攻撃や空爆をしたとの主張は現実と一致しない。偽情報だ」と述べたうえで、ウクライナが非武装化や中立化に応じない場合は、ロシア側が「軍事的手段で達成する」と明かしたという。

 マクロン氏は協議後、ツイッターに「攻撃停止をプーチン氏は拒否した。最悪の状況を避けなければならない」と投稿した。【モスクワ前谷宏、パリ久野華代】