ロシア人指揮者のトゥガン・ソヒエフさん(44)が6日、ロシアを代表する劇場のひとつであるボリショイ劇場の音楽監督兼首席指揮者と、フランスのトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団の音楽監督の双方を辞任した。

 ソヒエフさんは「フランス=ロシア・フェスティバル」を企画するなど、国境を越えた様々な音楽的交流を実現してきた。「愛するロシアの音楽家たちと愛するフランスの音楽家たちのどちらかを選ぶという不可能な選択を迫られた」ため、辞任を決意したとし、「これからも『音楽家』として彼らのそばにいる」との声明を発表した。

 ソヒエフさんはボリショイで2014年から、トゥールーズ管で2008年から、それぞれ音楽監督を務めてきた。ベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者を務めるなど、世界中のオーケストラで活躍する旬の若手指揮者の筆頭格だ。

 日本との関係も深く、トゥールーズ管とは何度も来日を果たし、NHK交響楽団とも客演を通じて蜜月を築いている。昨年11月には名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と来日する予定だったが、コロナ禍にともなう外国人の入国制限の影響で中止になっていた。

 ソヒエフさんの声明の全文は、以下の通り。

 多くの方が、私が現在の自分の見解を表明し、現在起きていることに対する私の立場を明らかにすることを望んでいると思います。

 今、何が起きているのか、そしてそれらによって私の中に生まれた極めて複雑な感情をどう表現すればよいか、考えをまとめるのに時間がかかりました。

 はじめに最も重要なことを申…(以下有料版で、残り1950文字)

朝日新聞 2022/3/7 21:30
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ377363Q37ULZU00R.html?ref=tw_asahi