国際エネルギー機関(IEA)は8日、2021年の二酸化炭素(CO2)の排出量が363億トンとなり、過去最高になったと発表した。新型コロナウイルス禍からの景気回復に伴い、CO2を多く排出する石炭の消費が急増した。国際社会が強化することで一致した気候変動対策が十分でないことが鮮明になった。

エネルギーの燃焼や、鉄鋼など産業工程で出るCO2が対象。20年の排出量は新型コロナの影響で経済活動が落ち込み、19年比で5.2%減った。だが景気刺激策とワクチンの普及で、世界の景気が急速に回復し、21年は20年に比べて6%増えた。IEAは声明で「20億トン超の排出量の増加は史上最大で、前年のコロナ禍による減少を相殺した」と説明した。

地域別でみると、ほとんどの地域で排出量は増えた。ブラジルとインドはそれぞれ10%以上増えたほか、米国と欧州連合(EU)は7%程度増えた。日本の増加分は1%に満たない。

中国は5%だが、同国は主要国でほぼ唯一20年も前年比での増加を記録している。21年までの2年間で7億5000万トン増えた。IEAは、世界の排出増は「主に中国がけん引した」と分析した。

エネルギー別では石炭の伸びが目立った。排出増加分の40%以上を石炭が占めた。中国やインドで石炭火力発電の利用が増えている。

国際社会は21年11月の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で気候変動対策の一段の強化で一致したが、対策が不足していることが明白になった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR08DPA0Y2A300C2000000/