県立加古川医療センター 佐野秀・救命救急センター長に聞く
新型コロナウイルスの深刻な感染状況が続いている。第6波の県内の死者数は約500人を超え、重症化リスクの高い高齢者が亡くなるケースが目立つ。
重症患者の治療に尽力する県立加古川医療センターの佐野秀救命救急センター長(54)に、医療現場で何が起きているのか実態を聞いた。

第1波の重症者は高齢者が中心で、以後、第5波までは重症者の平均年齢が低下したが、現在は再び高齢の重症患者が増えている。
特に当センターでは60歳以上で、ワクチンを一度も接種していない人が重症化するケースが目立つ。

感染力の高い変異株「オミクロン株」の拡大により、今まで感染を免れていたワクチン未接種者にも広がったのだろう。
原因ははっきりしないが、オミクロン株は、感染者の症状が短期間で急速に悪化するように感じる。
以前は発症から1週間ほどで重症化していたのが、2、3日で急に危険な状態に陥ることがある。

オミクロン株は重症化しにくいとされるが、感染力が高いことから、身体機能が低下した高齢者は注意が必要だ。

重症化したコロナ患者の肺炎を、根本的に治す治療は基本的にない。軽症・中等症患者の症状悪化を防ぐ薬はあるが、
重症患者向けの薬はほとんどない。気管挿管による人工呼吸管理や点滴などで、適切な呼吸や血圧、心拍数の維持に努めながら、肺の機能が回復するのを待つしかない。

ただ、高齢者は、寝たきり状態や重度の認知症などの場合、コロナの治療でなくとも、体力的な面などから人工呼吸管理などの集中治療を受けることが難しい。
第6波で死亡者が増えているのも、高齢者施設でクラスター(感染集団)が多発し、治療が困難なケースが多いからだろう。

県内で感染者が初めて確認されてから2年が経過したが、重症者を治療することは今も難しい。いかに症状を軽度に抑えるかが重要だ。

ワクチン接種や重症化リスクの高い患者への早期治療など、重症化を防ぐための対策を進めるしかない。
https://www.yomiuri.co.jp/local/hyogo/news/20220308-OYTNT50237/#:~:text=%E6%9C%AA%E6%8E%A5%E7%A8%AE

インタビューに答える佐野救命救急センター長(加古川市で)
https://www.yomiuri.co.jp/media/2022/03/20220308-OYTNI50095-1.jpg