科学ジャーナル『PLOS Genetics』で発表された論文によると、血液型とコロナ重症化には関連があると大多数の研究者が支持


パンデミックが始まってから、新型コロナ感染で重症化の可能性が高い人と軽症で済む人を分ける要因はいったい何なのか、研究者たちはその解明に努めてきた。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)は重症化するリスク要因について、長いリストをまとめているが、血液型が影響を及ぼすということをめぐっては多くの疑問が持たれてきた。
しかし、ついにコロナ重症化と血液型には関係があることが研究から判明した。

科学ジャーナル『PLOS Genetics』で発表された論文では、3000以上の血中タンパク質を分析。
どれが重症化に寄与するか、あるいはその逆かを解明しようと試みた(ここで研究者が“重症”と定義しているのは入院や人工呼吸が必要、あるいは死亡した人のこと)。

その結果、研究者は、血液型を決定づけているタンパク質など、重症化リスクを高めた可能性がある血中タンパク質をいくつか発見。

論文では「感染による入院リスクを高める血液型を正確に特定することは、私たちの研究結果からはできない」としながらも、
研究結果ではA型とB型には該当の血中タンパク質反応が見られたが、O型は見られなかったと述べている。

論文の共著者クリストファー・フーベルはテクノロジー&科学ニュースの『New Atlas』に、A型が特に重症化リスクが高い疑いがある、とコメント。

「以前の研究で、コロナ感染者にA型の割合が多いことがわかっていましたから、これでA型が次の研究対象候補になる可能性が高いですね」と述べている。

今回の研究から、血液型と感染リスクの関係についてさらに疑問が深まった。そこで、A型とB型の場合はどうすればいいかも含め、知っておくべきことをまとめてみた。

血液型とコロナの関係について研究がなされたのは、これが初めてではない。昨年11月、学術誌『Frontiers in Cellular and Infection Microbiology』に掲載された論文でも、
A型(B型も)の人は感染リスクが高く、O型とAB型はリスクが低いことがわかっている。

また、中国の初期の研究でも、O型の人は感染リスクが低い一方、A型は高いことを発見している。

「血液型とコロナ感染リスクの関係については複数の研究が行われています。関係があることを支持しない研究は少数で、大多数は支持しているのが興味深いですね」
とニューヨーク、バッファロー大学教授で感染病主任のトーマス・ロッソ医学博士。


完全に明らかになっているわけではないが、新型コロナ感染と重症化する可能性に関与する要因はいくつか考えられると専門家は指摘している。
「A型だからリスクが高いという単純なものではないと思います。いくつかの要因が複雑に絡み合っている可能性が高いですね」とアダリャ博士。

ミリシャー博士も同意見だ。「統計としては意味あるリスクですが、他の要因と比べて低く、それは過去の研究結果とも合致しています」。

つまり、血液型はコロナが重症化するリスクに何らかの役割を果たしているかもしれないけれど、それが唯一の理由だとか主な理由ではないということだ。

「結局、リスクの点では年齢要因が大きく、死亡率は年齢とともにアップします」とロッソ博士。が、肺の病気や肥満、糖尿病などの基礎疾患があることも大きく作用すると加えている。

怖がる必要はない。何型であろうと感染予防対策は同じだとロッソ博士。つまり、有資格者はワクチン接種とブースター接種を受け、
マスクを着用し、きちんと手の消毒をして衛生を保つことが大事だ。

とは言え、A型やB型の人は重症化リスクがあることを再検討してみるいい機会だとロッソ博士は言う。

「A型やB型でワクチン接種を躊躇している人は、これが接種すべき理由の一つになるかもしれませんね」


A型が多い日本人。さて、どうする?
https://www.harpersbazaar.com/jp/lifestyle/daily-life/a39390079/blood-type-covid-19-severity-220311-lift1/