?家族や家が気掛かり…再び国境越えウクライナへ 避難民がポーランド国境検問所に長い車列


 【ドロフスク(ポーランド東部)=蜘手美鶴】ロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナから避難した一部の人たちが、再び母国を目指している。自宅の様子を見に戻ったり、離れ離れになった家族に会いに帰ったり、さまざまな理由を抱えながら国境を越えている。
 「70歳になる母が残っている。戻るのは怖いけど、帰らないといけない」。ドロフスクの検問所で11日夕、ウクライナの入国審査待ちをしていたキエフ出身のマキシムさん(38)が、車の中から100メートルほど先のゲートを眺めてつぶやいた。

 検問所にはこの日、ウクライナを目指す車が数百メートルにわたって列を作っていた。マキシムさんは妻子を連れて1週間前にポーランド南東部の街に逃れて来たが、ウクライナ西部ルツクに今も母がいるという。家族はポーランドにいるため、「1週間ほど滞在して、また戻ってくる」と話した。
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ロシアの侵攻開始以降、ウクライナから近隣国に逃れた人は280万人以上に上る。再びウクライナを目指す車列には、荷物を積んだトラックや、家族が乗った乗用車が目立つ。目的地はロシア軍の攻撃が比較的及んでいないウクライナ西部がほとんどだ。
 数日ほど滞在してポーランドに戻る人が多い中、中部チェルカーシ出身のシリィさん(31)は家族をイタリアに送り届けた後、ロシア軍と戦うため再び一人で戻ってきた。「国を守るために帰る。銃を持って戦う」と語り、大型バンのハンドルを握り締めた。

東京新聞 2022年3月15日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/165557