ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、両国代表団による4回目の停戦協議に向けたオンライン形式での事前協議は、2日目の15日も結論が出ず、16日に持ち越すことになった。ウクライナ側代表のポドリャク大統領府長官顧問はツイッターで「根本的な不一致がある」と交渉の難航を認める一方、「妥協の余地も確かにある」と歩み寄りへの期待も示した。

ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、ロシアが反対していたウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟について「我々はそこに入れないと聞いた。これは真実だ。認める必要がある」と加盟を事実上断念する考えを改めて示した。ウクライナの大統領府高官も同日、「ロシアは協議の始めに降伏を求める最後通告を示していたが、今は口調が変わった」と協議が「建設的」になったと指摘し、停戦の合意に期待を寄せた。

一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は15日、「世の中に公表できる目立った結果が出るまで待とう」と述べ、協議の結果が出る時期については「慌てて予想したくない」と述べるにとどめた。

7日に対面での3度目の協議を行った両国の代表団はその後、複数の作業部会で交渉を続け、14日から次回の対面での協議に向けたオンライン形式の事前協議を続けている。ポドリャク氏によると15日の協議は再び中断となり、作業部会で協議を続けているという。両国はウクライナの中立化などで一定の歩み寄りを見せている可能性があるが、ウクライナ東部の親露派地域の独立など主張に隔たりがある問題も多く、交渉がまとまるかどうかはまだ見通せない状況だ。

両国による停戦協議が続く中、ロシア軍の地上部隊は大きな侵攻の動きを見せていない。ただ、露軍による遠距離からのミサイル攻撃や最前線の都市への砲撃は続き、民間人の被害は拡大を続けている。地元メディアによると、15日には北東部ハリコフ州で民家などが被害を受ける砲撃があり、5人が死亡。南部オデッサでもミサイル攻撃があり、2人が負傷した。

露軍の包囲が続く南東部マリウポリでは約4000台の車両に乗った約2万人が「人道回廊」を使って市外に避難することに成功した。ただ、市内にはまだ多くの住民が取り残されており、地元当局は病院の一つが露軍の部隊に取り囲まれ、近隣から逃げ込んだ約400人の住民と共に患者や医師が「人質」に取られていると訴えている。

ロシア軍が包囲を強める首都キエフでは15日夜から17日朝までの35時間にわたって外出禁止令が出された。露国防省は14日に親露派勢力の支配地域で「民間人20人が死亡した」とするミサイル攻撃への報復を示唆しており、キエフなどを狙った新たな攻撃の懸念もある。

ソース/YAHOO!ニュース(毎日新聞社)
https://news.yahoo.co.jp/articles/f856caf7fe69451bf4e0d8cd3dbcd03efde2602a