https://news.yahoo.co.jp/articles/54e588f0fcfbcb9ce3b19af6a6756e1a6381a5b9
2月27日、ウクライナのゼレンスキー大統領が志願者による外国人部隊の編成を表明すると、70人の日本人が名乗りを上げ、政府が「不参加」を呼び掛け鎮静化を図る一幕も。傭兵としてアフガニスタンなどで戦った経験を持つ軍事ジャーナリストによると、義勇兵を待ち受けるのは過酷な運命だという――。

「ロシア軍の侵攻による惨劇を目にして、ウクライナのために立ち上がろうとの思いで、義勇兵に志願した人たちの気持ちは痛いほど分かります。その心意気は素晴らしいものですが、果たして彼らが義勇兵を待つ過酷な現実をどれほど理解しているのかは疑問です」

 こう話すのは、旧ソ連の軍事介入で泥沼化に陥ったアフガニスタン紛争やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争などに傭兵として参戦した経験を持つ、軍事ジャーナリストの高部正樹氏だ。

 2月27日、ウクライナのゼレンスキー大統領が志願者による外国人部隊の編成を表明すると、在日ウクライナ大使館も同日、SNS上で義勇兵を募集。元自衛官などを中心に70人の日本人が瞬く間に名乗りを上げ、慌てた政府が「不参加」を呼び掛けて騒ぎの鎮静化を図る一幕もあった。

「ボスニア紛争の時、アメリカ人の兵士が捕虜になり、しばらく経って捕虜交換で部隊に戻ってきたことがありました。しかし、変わり果てた姿に思わず言葉を失った。彼はまだ20代後半だったのですが、髪は真っ白になり、歯は全て折られ、まるでおじいちゃんのように一気に老け込んでいたのです。どれほど凄まじい拷問を受けたのか、想像するだけで身の毛のよだつ思いでしたが、詳細はとても聞けませんでした。敵の手に落ちた外国人兵士の末路はたいてい悲惨なものと相場は決まっています」

そのため高部氏の周りの傭兵仲間は皆、ポケットに自決用の小銃の弾を忍ばせていたという。相手が国際法を無視してウクライナを蹂躙するロシア軍であれば、捕まった義勇兵が人道的な扱いを受ける保証は一切ないと考えたほうが自然だ。

 3月7日、外務省はロシア全土を「渡航中止勧告」とし、すでに危険度で最高レベルの「退避勧告」を出していたウクライナと併せ、事実上、渡航を禁じる措置を取った。