宮城、福島両県で16日夜に最大震度6強を観測した地震で、両県沿岸部を走るJR常磐線が一部不通となり、利用者の生活に影を落としている。通勤客は車の渋滞に巻き込まれ、生徒が学校に通えなくなる事態も。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で一部区間の運行が滞り、2020年3月に9年ぶりに全線開通となった常磐線。地域の復興と並走してきた路線の完全復活を、利用者らは心待ちにしている。

 JR東日本水戸支社によると、19日午前10時現在で運転を見合わせているのは、広野(福島県広野町)―山下(宮城県山元町)間の約90キロ。特急はいわき(福島県いわき市)―仙台(仙台市)の約150キロが不通となっている。

 福島県内では、相馬市の日立木(にったき)駅でホームの一部が崩れて線路側にはみ出した。いずれも南相馬市にある原ノ町―鹿島駅間の橋の一部が土台から数十センチずれた。線路のゆがみや線路を支える砂利の崩れは、県内だけで少なくとも30カ所確認された。

 JR東は復旧作業を進め、19日に一部で、20日には全線で運行を再開すると18日午後4時に発表した。だが、約5時間後には撤回した。広範囲で架線がずれていることが新たに判明したためだ。再開の見通しは立っていないという。

毎日新聞 2022/3/19 11:28(最終更新 3/19 11:31) 853文字
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