※弁護士ドットコム 2022年03月30日 15時47分

50代の男性課長(当時)からわいせつな写真を送りつけられるセクハラが原因で退職に追い込まれたとして、印刷会社(東京都港区)で働いていた30代女性が3月30日、同社と営業課長に440万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

女性は課長から3回にわたって約150枚ものわいせつ写真などを会社に送りつけられた。会社側に恐怖心や嫌悪感を訴えたが、何も対応してもらえなかったという。

提訴後に会見を開いた女性は、「今回心当たりのないわいせつ物を送りつけられ、怖い思いをしました。生々しく気持ち悪くて、忘れたくても忘れられません」と訴えた。

●「彼は良かれと思ってやってたみたいだよ」
訴状によると、女性は2015年5月に正社員として雇用され、広報物のデザインなどを担当していた。男性は当時営業課長で、デザインについて日常的に女性と仕事をする機会があった。

2020年1月〜4月までの間3回にわたって、会社住所の女性宛に封書が届いた。1回目は16枚のわいせつ写真、2回目は30枚のわいせつ写真、3回目は100枚のわいせつ写真とわいせつな器具が同封されていた。

差出人は実在する出版社名が記載されており、同封された書面には「新春アンケートのお礼の発送物に作業上の不備がありました。再度お詫びの気持ちを込めまして、一律に同封物(写真・グッズ)をプレゼント(無料)送付させて頂きます」などとアンケートのお礼をうたうものだった。

女性は3月に警察署に相談。筆跡鑑定の結果、6月に送り主が営業課長であることが判明した。8月には家宅捜索が行われ、会社の聞き取りに対しても送付したことを認めた。

それから女性は、課長と社内で出くわすのではないかという恐怖心で、不眠や業務に集中できないなどの症状が現れるようになった。

送り主が判明したあと、女性は会社側に「課長と物理的に離してほしい」と要望したが、担当者は「警察からの指示があるまでは処分はできない」「こっちが早く処分して、課長から厳しすぎると訴えられたりするのも困るし」などと対応しなかった。

さらに、「彼は良かれと思ってやってたみたいだよ」「逆にいうと、ばれないようにやるとかさ、誘拐犯みたいに新聞の文字を切りとってやるとかさ」など、あたかもやり方を変えれば問題なかったかのように課長を擁護し、女性を侮辱するような発言をしたという。

その後も、女性が謝罪を受け入れさえすれば問題が解決するようなことを言われ、課長が懲戒処分すらされないことから、女性は安心して仕事を続けることができないと判断。2021年3月に退職した。

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