https://www.zakzak.co.jp/article/20220420-3PMDABGQYJKQXNZNWUMNYZZAM4/
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新型コロナウイルスについて、「一部の人間が仕掛けたもの」としたり、
「ワクチンは殺人兵器」などとする陰謀論が広がった。
ロシアのウクライナ侵攻をめぐってもさまざまな陰謀論がネット上で出回っているが、見極める手法はないか。

自然科学系と社会科学系に分けてみてみよう。
自然科学系ではイデオロギーと関係なく、事実に基づく実験と数理ロジックで論証されるのが基本だ。
そのため、科学知識があれば、陰謀論はかなり排除できる。そもそも陰謀論の論法は自然科学ではありえないものだ。

科学知識のない人はどうするか。
自然科学の場合、陰謀論を排除する人や組織がかなりあるので、ネット上の情報だけでも、
これは陰謀論かなと見分けることができる。少しでも陰謀論の匂いがあれば、避けるのが賢明だ。

社会科学系の場合、どうしたらいいのだろうか。
筆者の場合、自然科学と類似した論法でチェックしている。
社会科学の場合、実験ができないので、統計数字に基づくモデルの検証を行って、妥当な理論を選び出すという作業になる。

「ユダヤ資本やディープステートによれば…」といった話が陰謀論の典型であるが、統計数字どころか、用語の定義も出てこない。筆者は、歴史的に明確な前提、定量的な事実関係や議論がない話は基本的には信用していないし、
定義のない用語に基づく話は聞こうとも思わない。

陰謀論は、根拠が不十分な説明に基づいて物事を断定しているので、筆者の判断基準から見れば、話を聞かないとなる。
根拠が匿名の証言やコメントであったり、ソースが不明なものも時間の無駄なので無視することが多いが、
陰謀論もその類いである。

マスコミ報道でも、「関係者」「専門家」といった書き方で、
具体的な名前が明かされないものは情報としてそれほど価値がないと思っている。
「捜査関係者」や「政府関係者」とかもあまり信じない。

いずれにしても、ソースが明らかにできない場合、証言を翻す可能性もあるので、
それほど信憑(しんぴょう)性は高くないことが多い。

筆者は、情報の信憑性について、発信者によって区別しないようにしている。
ただし、陰謀論を唱える人は繰り返す傾向があるので、避けるのは当然である。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)