フィリピンでドゥテルテ大統領の任期満了に伴う大統領選挙の投票が9日から始まり、現政権の政策を引き継ぐとしている故マルコス元大統領の長男、フェルディナンド・マルコス氏が支持を大きく広げる中、現政権の強権的な手法を批判する副大統領のロブレド氏がどこまで追い上げを見せるのか、注目されます。

フィリピン大統領選挙の投票は日本時間の9日午前7時から、およそ3万7000か所の投票所で始まりました。

選挙には10人が立候補していますが、インフラ整備や麻薬犯罪の取締まりなど、現政権の政策を引き継ぐとしているフェルディナンド・マルコス氏(64)が支持を広げ、現職の副大統領でありながらドゥテルテ大統領の強権的な姿勢を批判してきたレニー・ロブレド氏(57)があとを追う展開となっています。

マルコス氏はかつて独裁体制を敷いた故マルコス元大統領の長男で、一部では反発も出ていますが、SNSを使って「父はインフラ開発で経済を発展させた」などと主張し、独裁体制を経験していない若い世代を中心に支持を広げています。

また、大統領選挙とあわせて行われる副大統領選挙に立候補したドゥテルテ大統領の長女サラ氏と一緒に選挙活動を行い、現政権の支援者を取り込むのに成功しています。

これに対してロブレド氏は、麻薬犯罪の取締まりなどで強権的な手法をとり続けてきたドゥテルテ政権に対する批判票の取り込みに力を入れていて、どこまで追い上げを見せるのか、注目されます。

投票は日本時間の9日午後8時に締め切られ、ただちに開票されます。

コンビニでは候補者の顔を印刷したカップで人気投票も

9日に投票が行われる大統領選挙に合わせて、フィリピン国内では幅広い人たちに選挙に関心を持ってもらおうとさまざまな取り組みが行われています。

このうち大手のコンビニエンスストアは、候補者たちの顔を印刷したカップを用意し、客が飲み物を買うときに好きなカップを選んでもらう人気投票を行いました。

全国3000店舗以上でことし3月9日から今月4日まで行った結果は、故マルコス元大統領の長男のフェルディナンド・マルコス氏が1位で43%、現職の副大統領のレニー・ロブレド氏が2位で24%でした。

そして3位は誰に投票するか「未定」と書かれたカップで、14%を占めました。

マルコス氏のカップを選んだ37歳の女性は「SNSなどを通じて父親のマルコス元大統領の功績を知った。マルコス氏には父親のような大統領になってほしい」と話していました。

ロブレド氏のカップを選んだ31歳の男性は「ロブレド氏がどのように困っている人たちを助けてきたのかを知り、国を率いる立場にふさわしいと思った」と話していました。

一方、「未定」のカップを選んだ20歳の大学生は、今回初めての投票に臨むということで「誰が国民のことを考えてくれるか慎重に調べる必要がある。SNSには信用できない情報も含まれている」と話していました。

この人気投票は前々回、12年前の選挙で始まって今回が3回目になります。

選挙権を持たない18歳未満も参加が可能で、若い世代に選挙への関心を高めてもらうことに一役買っているということです。

NHK NEWS WEB 2022年5月9日 7時26分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220509/k10013616551000.html